音楽の仕事をしながら、コンサートに足を向けない。

人が多く集まるところはなるべく避けたい、

そんなことでどうする。


てんで、昨日ポール・マッカートニーのコンサートに行った。

サイモンとガーファンクルの時と同じ、

エイベックスの市村さんと行く。


「これはもう見とかなきゃダメですよ。

もう来ないですよ、きっと」

と、その歴史的重要さを説得され、チケットを手配した。


そして当日。


東京ドームで音楽を聴くのは初めて。

野球で一回来たきり。


すごい人数だ。

入るまでにへろへろしそう。


5万人てのはこういうことか。

人がもう人に見えない空間。

その中で、ポールが唄いはじめる。


いやはや、かっこいいのなんの。

極上のポップスってこういうことか。


結局、立ったまま3時間近く。

知らない曲も知ってる曲も。

あちこちで涙をふく人がいて。

おじさんもおばさんも、若い人も。


私たちおじさんおばさんの涙は深い。

遠い時間ごと流れてる。

それぞれの人生の河が流れてる。


私も、泣きました。


ビートルズ、べつだん好きでも嫌いでもなかったのに、

ぼうぜんと「時の河」の中で泣きました。

びっくり。



で。

すっかり足腰が痛くなって。

みんな大丈夫だったかなあ。

そうとう年寄りもいたしなあ。

なんて、同時代の友人をきづかう感じ。



水道橋駅近くでワインを飲むと、

もうすっかりいい気分で、

あわてて終電手前の電車に乗る。


こんな夜が、きっと一生の宝物になるんだなあ。

ありがとうポール。

ありがとう市村さん。