鹿児島には何回も行っていて


ほとんどが市内だった



今回の鹿児島は違った



串木野というところにある 鎮國寺さんへ



そこの「観月会」で 歌を奉納するのだった



湯川れい子さんが 毎年どなたかを連れて


参加されるこの会




前日入りして リハーサルをしていると


わあああと風が吹き 


雨がざんざんと降りだした




天気予報では 翌日も雨マーク



どうやら前年は この大雨にたたられ


お堂の中へ会場をうつされたとか




今年は なんとしても外で


月の光とともに




そんな 皆さんの思いのせいか



当日は朝から晴れ




ふもとから たくさんのかたが上ってこられる



お酒や おにぎりなどが ふるまわれ


6時から 音曲が流れる



途中で 和尚さまのお祈りの時間



般若心経などが 山々に響く




月は もう これでもかというほど


美しく


その光で 私たちを 包む




   心に月を置くこと それが 仏教です

   


胸のあたりに 手を置き


和尚さまが そう話される



   仏教とは何か それが究極の答えです





あ と思ったら 


ぼたぼたぼたぼた 涙がおちる





月だ  太陽じゃなく



ひそやかに それでも 暗い夜道を照らす



そんな月のように 唄えばいい




震災以来  太陽のエネルギーのことを


考えてきた


そして どうも自分には 何か足りない



思ってきた



そうか



月で いいんだ



月のように できることをすればいいんだ





御堂の前で 一時間弱を 唄う



月の光と 山の風が


ドレスの裾を包む




  目には見えないものが まるで空気のように

  見えるものより ずっと 大切な存在



湯川さんの作られた言葉を 最後にみんなで唄う




まったく なんという3日間だったろう




東京に 帰っても


どうも すべてが 夢の中のことのようで


うつらうつらする




帰りの飛行機の中


  あ  虹!!



と 少女のように叫んだ湯川さんの


その肩越しに


確かに 虹が 立っていた