スタイリストとして知り合った のんちゃんから
映画に誘われた
「アレクセイと泉」 って もう十年前の映画
この時に いまこの映画 見て欲しいって上映会
ベラルーシにあるこの村は
もう地図では 存在しない
あっちゃ いけない 村なんだ
でも この村には おじいちゃんとおばあちゃんと
そして たった一人の若者アレクセイと
犬と猫と馬とガチョウと豚が 住んでる
そして 泉 が
この泉だけは 放射能が 出ない
地下から湧き出る 水は
この村の 昔のまんまで
村のひとたちは
だから ここに 住む
住んじゃいけないって いわれても
住む
生きる
アレクセイは ちょっとカラダが不自由だ
小児マヒ が 残ってるから
でも
唯一の 若者は
おじいちゃんや おばあちゃんたちに
とっても 重宝されて 愛されてる
湖で 水浴びしてる カラダは たくましい
たくさん チカラ仕事してるから
泉の 水を バケツに 二杯
木の棒の 両端に ひっかけて
毎日はこぶ
棒も カラダも しなる
アレクセイは きっと
みんなの 家にも 運んであげてるんだろう
30キロもあるというのに
ほんとに 静かだ
静かな映画だ
だけど だから
ときどき 涙が ぽとんと
落ちる
最後に 放射能の値が 字幕に出る
単位がキュリーなんで よくわからない
でも
どこもかしこも 放射能だらけだとは わかる
美しい村 すべてが
でも 泉だけ
泉だけは 汚れてない
こんこんと 命の水が 湧く
音楽を担当した 坂本龍一がいう
この映画には 音楽が必要ないんです
でも
音楽が 音楽じゃないように
やっぱり こんこんと しんしんと
流れていた
涙が マスクに たまって
重たくなった