茅ヶ崎には とんびが とんでいた



とんびを見たのは  藤沢がはじめだった



湘南には  とんびが たくさんいるのだ



海にいくと  やっぱり とんびが  ざざーと飛んでいる



かっこいいので  わくわくする




東京にいると  カラスとスズメとハトだらけだ



そのスズメだって 近頃は少ない



一羽で 懸命にエサを探している



あまりに寂しすぎる



スズメがこんな状態だから



ヒトだって 寂しくなる



だれでもいいからと 刃物を振り回すヒトだって出てくる




とんびは すごい



高いところを  くるくるゆうゆう回っている





時々 ひゅーと ヒトの弁当なんか狙う  らしい



すんごい目だ



楽屋の窓から とんびが見えたので



おいなりさんを  出してみようと思った





とんびは  ジャスコあたりを とんでいる



わたしのほうには  目もくれない




とんびがいる街に  住むのもいいなあ  と思う



海の気配のある街   てのもいいなあ  と思う




海に行けば   海にいた頃の記憶が  蘇る  はずだ



海からあがってきた  イキモノの記憶が  蘇る  はずだ




今年の晩夏   海に行くと  若いオトコとオンナが



海のなかで  仲良くしていた



オトコがオンナを抱きかかえた



夕陽に二人のシルエットが  浮かぶ



地球の真ん中で愛を叫ぶ  てコトバが  にあう




ちょっと疲れたわたしたちは  ワインを飲んだ



真ん中じゃなくても  叫ばなくても  



こうして  年とって   ワイン飲んで  ぐだぐだして



うん



生まれ変わって  とんび  てのも  悪くない