”長いこと剣道やってるといろんなことがある”
で、思い出した。
こんなのは後にも先にもない出来事に違いなかろう。
昭和も四十年代中頃のことだったと思う。
もちろん当時にインターネットもなければYoutubeもない。
おそらく記録映像にもないはず。
だから、直接目撃した人以外に知る人はいない。
たまぁ~に
『こんなことがあった』
『それほどあの師範は凄かった』
と、後進に”努力の大切さ”を伝えることがあったが
誰一人として信じようとしない。
さて当時の我がチームには二人の師範がいた。
S範士とN範士。
第何回目だか全く覚えていない。
八段戦だったか東西対抗だったかも定かではない。
大阪市立中央体育館でその大会は開催された。
(現在その施設はない)
我らがN師範が西軍大将。
弟子一同、これを見学にも行かないという選択肢はない。
待ち兼ねた”大将戦”
主審「始め!」
東軍大将「イヤァ~ッ!」
西軍大将「・・・」
2秒か3秒の間を空けて
東軍大将、いきなり竹刀を収めて正座
「ま、参りましたぁ」
もちろん場内は大爆笑。
むっちゃ失礼だと思ったが、
最後に”失礼だった”と全員が気づいたと思う。
西軍大将「???」
(・・;)オレ、ドウシタライイノ? オレ、シアイシタイノニ
主審 「立ちなさい」のジェスチャー
主審あらためて 「始め!」
西軍大将 「メン!」 ボコッ!
主審 「メンあり、二本目!」
西軍大将 「メン!」 ボコッ!
主審 「メンあり、勝負あり!」
静寂が一瞬にして場内割れんばかりの拍手に・・・。
もちろんN範士の見事さに送られた拍手に違いないが
その拍手の何割かは、”爆笑”の非を詫びて
東軍大将の”目”にも送られたものではなかったろうか。
対峙しただけで『これはとても・・・』と畏れ入っただけでも
『大したものだ』と私は今でも思っている。
ちなみにN範士には四半世紀も師事させていただいたのだが
切り返しを受けていただいたとき以外に
私の竹刀が範士に触れたことがありません・・・でした(;´∀`)
歳を重ねていくと昔ばかりを思い出すんですねぇ。