寮美千子さんは、「奈良監獄物語」という絵本も出しています。

 

 


絵本ですから、分かりやすいことばで、「奈良監獄」を主人公にして話がすすみます。

すてきな絵本ですが、文章のみ紹介したいと思います。


目次

□坂の上の赤煉瓦
□美しい刑務所
□明治五大監獄
□黒船来航と不平等条約
□ギス監から近代的監獄へ
□囚人たちが積んだ赤煉瓦
□五翼放射状舎房
□暗い時代
□阿修羅さまたちの疎開
□若草理容室
□花火
□監獄法の改正
□やさしさを響かせる楽器
■取り壊しの危機
□町の人々の願い
□喜びと悲しみ
□別れの演奏会
□未来への船出
資料編
・奈良監獄建築配置図
・明治五大監獄
・旧奈良監獄の歴史


取り壊しの危機
 

そんなわたしが、取り壊されそうになったことがあった。
2014年(平成26)4月、新しく赴任してきた所長が、
「在任中に建て替え計画の目処を立てたい」と高らかに宣言したのだ。
その11年前、法務省は「奈良少年刑務所新営工事事業評価資料」を公表。
建物の大半を解体して新築するという、大がかりな事業計画だ。
計画は妥当とされ、予算が下りて実行されるのを待つばかりだった。
しかし、厳罰化の影響で収容期間が長くなり、全国の刑務所で過剰収容になっていた。
そのため、建て替え事業は先送りになっていた。
ところが、時代は変わった。少年犯罪はみるみる減り、収容人数も激減。
そこへ、新所長の宣言だ。わたしの命は、風前の灯火だった。

 



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獅子風蓮