寮美千子さんは、「奈良監獄物語」という絵本も出しています。

 

 


絵本ですから、分かりやすいことばで、「奈良監獄」を主人公にして話がすすみます。

すてきな絵本ですが、文章のみ紹介したいと思います。


目次

□坂の上の赤煉瓦
□美しい刑務所
□明治五大監獄
□黒船来航と不平等条約
□ギス監から近代的監獄へ
□囚人たちが積んだ赤煉瓦
■五翼放射状舎房
□暗い時代
□阿修羅さまたちの疎開
□若草理容室
□花火
□監獄法の改正
□やさしさを響かせる楽器
□取り壊しの危機
□町の人々の願い
□喜びと悲しみ
□別れの演奏会
□未来への船出
資料編
・奈良監獄建築配置図
・明治五大監獄
・旧奈良監獄の歴史


五翼放射状舎房
 

1908年(明治4)、「監獄法」が発布され、奈良監獄が完成した。
五本指のように広がるのは「五翼放射状舎房」。
廊下の天窓から明るい太陽の光が射してむ、
あの時代の、もっとも新しい監獄建築のスタイルだった。

五本指の掌(てのひら)の位置にあるのが中央看守所だ。
まんなかに立つと、
5本の廊下のすべてが見渡せるようになっている。
ここに足を踏みこんだだれもが、おどろく。
「教会の聖堂のようだ」という人さえいた。
天窓から射すやわらかな光、高い八角天井、壁の装飾。
実用だけなら、こんな形である必要はない。
美しさを追求しているからこその形だ。
徹底的に質素な舎房は、修道院のようでもある。
「受刑者の心を癒す建物に」という山下啓次郎の思いが、
そこここにあふれていた。



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獅子風蓮