寮美千子『イオマンテ-めぐるいのちの贈り物』(ロクリン社、2018.02)
絵がとてもすてきな絵本ですが、文章のみ紹介したいと思います。
(つづきです)
その若者が、わたしなのだ。
だから、子どもたちよ、よくおぼえておくんだ。
ひと粒の粟(あわ)も稗(ひえ)も、
ひと切れの肉も魚も、みんないのち。
わたしたちは、いのちをたべている。
いのちと魂との、おおきなめぐりのなかにいる
すべては、めぐるいのちのめぐみ。
すべては、めぐるいのちのめぐみ。
すべては、カムイのめぐみ。
と、ひとりの老人がいいながら、
しずかに息をひきとりました。
(おしまい)
獅子風蓮