創価学会の2世だった菊池真理子さんが、いろいろな宗教の2世の人をインタビューして、マンガにしました。
孤立無援の2世の人々に対する世間の理解を深めたいと。
安倍元首相の襲撃事件の起こる以前のことです。

菊池真理子『「神様」のいる家で育ちました』

 


(目次)
□はじめに
□第1話 (エホバの証人)
□第2話 (崇教眞光)
□第3話 (統一教会)
□第4話 (キリスト教プロテスタントの一派)
■第5話 (幸福の科学)
□第6話 (真如苑)
□第7話 (創価学会)
□あとがき
□終わりに
( )の中は、私の推測です。

少し引用します。
 


■第5話 (幸福の科学)

九州某県。
(総裁先生の著書をマンションの住民にポスティングする私と母)

もともとスピリチュアルが好きだった母は、教祖が書いた本にはまって入信。
それが原因か、私が3歳の時に離婚しています。

以降、ひとりで子ども3人を育ててきたのですが、実は働いたことがありません。
美人な母はいつも誰かに世話してもらっていたようです。

3年生からはポスティングの代わりに塾に通わされました。
目指すは教祖の出身校・東大一択。
会合でも信者からプレッシャーをかけられます。

シングルマザーなのに子育ても布教も完璧。
母はそう見られたがっていました。

けれど中1最初の中間テストで、25位。
__東大、ムリじゃん! エリートになって教団のお役に立たなきゃいけないのに。役立たずじゃん!

信者として情けないし、母を苦しめて悲しい。
そんな時、届いた知らせが、教団が作った高校の入学案内。

受験には合格。
親元を離れ、栃木県那須郡の全寮制の学園での生活が始まりました。


授業は週に2コマほど宗教の時間。
法話聞いたり、講義があったり。
……
東大には入れなかったけれど上京して社会に触れました。
信者じゃなくてもいい人はたくさんいました。
逆に……

不安定になった私は突然大学をやめてしまいます。

そのうち教祖の長男が教団の内部を暴露し始めました。

 

(脱会を考え始めるも、揺れる心)
__お母さんが布教しまくっちゃたから、地元の友達ゼロだ……
つながってるのはみんな学園生……
宗教やめたらみんなと切れる……
お金ない。
最終学歴があの高校なんてどこが就職させてくれるの……?

教祖は都内の一等地で、お城みたいな家に住んでいるのに。

(絶望のあまり自殺をはかる)

気づいた時は病院でした。
脱会した1世や教団を批判するジャーナリストに支離滅裂なDMを送った私。
たくさんの人から心配のメッセージが届いていました。
生活保護の申請をする過程で、母が私の名義で多額の借金を作っていたことも判明。
返済拒否の手続きを手伝ってくれたのも彼らです。
全部失っても、つながりは新しくできていました。


それから3年……
今も時々、全部終わりにしたくなるんです。
この先、いいことがあるなんて信じられないんですよ。
私が努力しても、あの教団にいたって言ったら、ずっと変な目で見られるんでしょう?
私が選んだんじゃないのに。


選んだのは母なのに。




 


解説
幸福の科学は、創価学会を意識したのか、真似をしたのか、
2010年4月1日 - 幸福の科学学園中学校・高等学校 開校。
2013年4月1日 - 幸福の科学学園関西中学校・高等学校 開校。

(Wikipediaより)

それにやや先だって、政党(幸福実現党)を結成しています。

大学設置問題
2015年4月に千葉県長生郡長生村に幸福の科学大学(仮称)を開学する計画があり、設置準備を進めていたが、文部科学省の大学設置・学校法人審議会は2014年10月29日に文部科学大臣に開設「不可」とする答申を出した。理由として、同大学は大川隆法の思想をベースにした必修科目を設けており、学校教育法第83条第1項に掲げる「学術の中心」としての大学の目的を達成できず、大学設置基準第19条第1項・第2項の要件を満たしていないとされている。さらに文部科学省は、「審査の過程で認可を強要するような不適切な行為があった」として、今後最長5年間にわたって、学校法人幸福の科学学園による大学の設置を認めない方針を決定した。
これに対し、幸福の科学側は認可の強要とされたものは誤認であるなどとした異議申立補足書を提出し、また下村博文文部科学大臣に対して、設置認可申請の審査手続きが不適当に行われたなどとして請願法に基づく弁明請求書を提出。さらに刊行書籍において、書籍の送付が認可の強要を意図する不適切な行為とされたものであるとした。
2015年4月に幸福の科学大学とする予定だったものをハッピー・サイエンス・ユニバーシティという無認可校として設立した。幸福の科学は「『現代の松下村塾』であり、日本発の本格私学の開学」としている。

(Wikipediaより)

大学の設置は叶わなかったようですね。

私は、自分の意思で創価高校を受験して寮生活を送りました。
それなりに楽しく、有意義な学園生活でした。
一般に誤解されているような宗教教育についてですが、学園では受けた記憶がありません。
ですから、創価学会の組織に疑問をもって脱会した今も、学園生だったことを後悔することもありませんし、ことさら隠すようなこともしていません。

でも、アンチ創価で創価高校や創価大学を卒業された人の中には、このマンガの主人公の気持ちがよく分かるという人もいることでしょう。
親に無理やり受験させられた人や、親を喜ばせるために無理して入学した人の中には、卒業してもいつまでも履歴書について回る「創価」の文字を恨めしく思っている人もいるかもしれません。

今も時々、全部終わりにしたくなるんです。
この先、いいことがあるなんて信じられないんですよ。
私が努力しても、あの教団にいたって言ったら、ずっと変な目で見られるんでしょう?
私が選んだんじゃないのに。
選んだのは母なのに。


何年たっても、こういう気持ちは消えません。

子どもの意思を尊重しない学校の選択は、悲劇を生みます。


獅子風蓮