2019年の夏のことです。


まだ新型コロナの騒ぎの起こる前のことですね。


外来に、1歳の幼児が受診されました。
母子手帳を見ると、これまで何も予防接種を受けていないのです。
そういう親はたまにいるのですが、理由を尋ねると、やまびこ小児科医の横地先生の主宰する講座を受け、ワクチンは受けない主義だといいます。
横地先生の発行するワクチン拒否の証明書を母子手帳に貼ってあります。

やまびこ小児科医クリニックをネットで検索すると、きれいなホームページが見つかります。

積極的に出張講座を行ったり、自分のクリニックでは催眠療法や数秘術やアロマテラピーなど、なにやら怪しい分野にまで母親を取り込もうとしています。

このクリニックのことはしばらく忘れていたのですが、最近になり反ワクチンの動きに注目してから、反ワクチンやトンデモ医師のウォッチングをしておられる医師のいることに気付きました。

五本木クリニックの桑満おさむ先生が、自身のブログに書いておられます。
反ワクチン講座内部資料から判明!子育て中のお母さんがワクチン忌避を選択してしまう理由」(2021-09-30)
という記事には、横地医師の反ワクチン講座のテキストを入手して、詳細に現状が報告されています。
少し、引用します。

 


反ワクチン医師のワクチンを我が子に打ちたくないママ向け講座の内容

ワクチン接種忌避を堂々と宣言するために、お母さん方にワクチン証明書なるものをやまびこ小児科クリニックの横地真樹医師は発行しています。


この「ワクチン受講証明書」はこのように母子手帳にべたりと貼って使用するようです。


反ワクチン講座のテクニックは責任をお母さんたちに負わせるのがポイント

ワクチンの副反応やワクチンに含まれる添加物のリスクを訴えながら、注射を嫌がる子どもを押さえつけてまでワクチン接種をすることを人権侵害だと横地医師の講座では伝えています。
嫌がる子どもにワクチン接種を行うことは、子どもが強いものが弱いものを力づくで抑え込むことを肯定することを教え込むことにもなりかねないともっともらしい言質が記載されています。
例えば抵抗する子どもを押さえつけてワクチンを打ってしまうと、その後の親子関係にも悪い影響を及ぼす可能性がある、なんて話を講習で受けている最中に隣のお母さんが、「うん、うん」と頷いていたら集団心理的にそれが正しいものであると強く感じてしまうのでは無いでしょうか?
ワクチン接種によってなんらかの感染症にかからないで済むことは、誰でも知っていることですよね。ワクチン接種によって一時的に体調を崩す副反応については知られていても長期的な悪い影響に関しては知らないか、あまり気にしていない方も多いと思います。
長期的な安全性に疑問を呈する横地医師の反ワクチン講座を受講してしまったお母さんたちは間違いなく不安になり、我が子へのワクチン接種を忌避する流れになってしまうでしょうね。
不確定要素が強い将来にたいする不安を煽る反ワクチン講座の狡猾さに、私は絶句しました。今がなければ未来は無いはずです。
重篤化する可能性のある感染症に今かかってしまったら、最悪の場合は未来が無くなってしまうことを横地医師は教えてくれません。
そりゃそうですよね、命を失う可能性のある感染症にちっちゃな子ども時代に罹患してしまったら当然未来はありませんから。

(以下省略)


桑満先生の指摘に、付け加えることは何もありません。

このように、横地先生のターゲットは子育て中のママなのです。

そこは、うつみんが同じように子育て中のママの不安を必要以上に煽って、クリニックの高額な治療に囲い込むのと同じですね。

今回、やまびこ小児科医クリニックのホームページを再び覗いてみると、
(リセットのため)2022年(令和4年)4月よりしばらくの間、休診といたします。
と書いてありました。

これからも横地医師の動向は、注視していきたいと思います。

獅子風蓮