内海聡氏は、対話ブログの管理人であるシニフィエさんや、私の友人である海さんに大きな影響を与えた人物ですので、内海聡氏のことはきっちり批判しておこうと思い、図書館で何冊か著書を申し込みました。


本当は、内海聡の『医師が教える新型コロナワクチンの正体』を早く読みたかったのですが、図書館のリクエストの順番がなかなか来ないので、今回はこの本を読んでみました。

内海聡『この世界の秘密-99%の人が知らない <彼ら>にだまされるな!』

著者がとらえている世界の構造と、支配者たちによる策謀、そしてそれらを暴いてきた人々を紹介しながら、なぜ医学が批判されるべきなのか、その真の理由をあぶり出し、最終的に「我々はどのように考え、どのように生きていくべきか」を説く、哲学的な本。

著書の宣伝文には上のように書かれています。
しかし、私の感想を言わせてもらえば、ネットに散在する陰謀論などを寄せ集めて、自身の虚無主義と融合させただけの内容の薄い本でした。
とても、「哲学的な本」とは言い難い。

著者は、一般大衆のことを「グーミン」(愚民から派生した言葉)と呼び、バカにしきっています。
また、この世界は<彼ら>が、自分たちに都合のように陰謀を巡らせているのだと言い切ります。

<彼ら>とはだれか?
著者は、まずユダヤ勢力について、詳細に記述します。
中でも「シオンの議定書」の中に、すでに現在の支配の様子がすでに描かれていたと述べます。

次に、<彼ら>の考え方として、「優生学」がその基本思想だと述べています。
つまり、
__我々優秀な民族が生き残るうえで、愚民たちは邪魔だ。
__愚民たちは家畜と同じであり、殺処分しなければならない。
__地球上で支配体制を確立するためには、さらに強い統制を働かせねばならない。

ということです。

そして、<彼ら>は、豊富な資金をもとに、その支配体制をさらに固めると同時に、人口を削減することを第一に考えるのだそうです。
さらには、<彼ら>は、輪廻転生する我々のことを、ただ殺すだけではあきたらず、我々に対して徹底的なまでの汚辱を与えようとする、というのです。そのために、医薬や、添加物や、農薬や、放射線などを用いて、我々をどこまでも傷つける必要がある、というのです。

ここが著者の主張の特異的なところです。
著者の「反医学論」の根っこには陰謀論があるのです。
<彼ら>が我々愚民を殺すだけではあきたらず、我々の魂に徹底的な汚辱を加えるために、医学会や製薬企業に陰謀を巡らし、毒物を投与しようとしているというのです。
食品添加物や、農産物、放射能などについても、同じような論理展開をするのです。

すごいでしょう。
ちょっとついていけませんね。

人類を愚民化するために、<彼ら>が重視している作戦の一つに、「ケムトレイル」というのがあるそうです。
「ケムトレイル」とは、「毒をふくんだ飛行機雲」のことなのだそうです。
さまざまなウイルスや有害物質を人工繊維の中にふくませ、それを上空から散布しているというのです。
アメリカではケムトレイルが原因とみられる奇病「モンジェロンズ病」が発生しているといいます。

著者は、このような情報を、おそらくネットから集めてきて、無批判に紹介しています。
呆れてしまいます。

「医学の世界における<彼ら>の暗躍」という章があります。
少し詳しく見てみましょう。

医学はなぜ生まれたのか。
それは「人を殺すため」である。


最初から、こうですからね。
ぶっ飛んでますね。

病気を治すには西洋医学による薬による治療、すなわち「対症療法」ではダメで、この地球を治療する「根治療法」でないといけないというのだ。
著者は、GAIA理論にもはまっているようです。

また、著者は、「注射の針の穴より小さいマイクロチップ」などに言及しています。
また「バイオAPI」なるものも研究されていて、脳内のニューロンに取りつくといいます。
このバイオAPIが、ケムトレイルでまかれているのではないか、ということです。

このような陰謀論の素地がネットにあったので、新型コロナワクチンにマイクロチップが混入しているなどという荒唐無稽のデマが発生したのでしょう。たぶん。

「政治・メディアの世界における<彼ら>の暗躍」という章では、<彼ら>の陰謀が、自民党の政治家や電通、統一教会、創価学会などにまで張り巡らされているといいます。

とにかくめちゃくちゃです。
こんな著者に影響されて少なからぬ人々が反ワクチンに走ったとしたら、罪は深いと思いました。

つづく

獅子風蓮