日々の業務や会社運営を可能な限り論理的かつ科学的にできないかと考えて、行動経済学に注目してきました。

心理学や脳科学の知見も取り入れた裾野の広い分野で、日々の業務に参考になることが結構あります。

 

「集合知」もその一つです。

 

集合知に関する論文は数多くありますが、科学雑誌「ネイチャー」に発表されたこんな実験があります。

 

5000人の参加者に対して課題(正解あり)を与えます。

先ず一人ずつ考えてもらい、その後4~5人のグループ討論をした後に回答させると、平均値は正解にぐっと近づきます。

 

この実験、全体の人数をいろいろ変更して試してみると、最も平均値が高いのは20人の場合です。

 

20人の集団で、先ず一人ずつ答えを考えさせた後に5人ずつ4グループになって討論した上で回答させると、5000人の場合より平均値がほぼ常に上回るのです。

 

ちなみに、グループ討論の後でメンバーをシャッフルして再びグループ討論させると、5000人の場合も20人の場合も成績はさらにアップします。

 

ただ、20人より多い人数で課題に取り組んでも平均値が上がることはありません。

 

これはどういうことか?

一つの事に取り組ませるならば、合計20人程度に共通の目標を持たせ、実際の運営では4~5人ずつのチームに分ける。

時々はチーム間で人事異動を行ってメンバーをシャッフルする。

そうすれば最高のパフォーマンスを発揮する可能性が高く、20人を超えて人材を集めても人的リソースの無駄になる可能性が高い。 ネイチャーの実験はそう語っています。

 

実際の業務においても、4~5人を超えるチームを作ると一体感を保てないチームが出てくる可能性が高いですし、合計50人や100人の集団が共通目標を同じような熱量で持つことも難しい。

 

4~5人のチームで合計20人程度が共通目標を持てばいい、というのは実感としても肯けます。

 

さらに、時々チーム間の人事異動をすることで適度な刺激やチーム相互間の知見交換が行われることで、より高い成果を挙げやすくなる可能性が高いのです。

 

実際の業務運営に参考になる知見ではないでしょうか。

 

当社でもメンバーの共感を得ながら実施を検討しているところです。