私が仕事をしている会社は建築・インテリア関連の情報提供を事業としていることもあって、募集すると「建築・インテリア業界経験者」が数多く応募してこられます。
でも、当社の場合、業界経験の長い人を採用することはまずありません。
「なぜ、業界経験者を採用しないのか」と聞いてくる方にはこんなお話をしています。
私たちの会社は、業界の中で新しい取り組みをしたいと考えています。
レナウンやワールド・オンワードといった名だたるファッション企業からゾゾタウンは生まれなかったし、大手銀行には一流大学を出た優秀な人材がゴロゴロいますが、そこからfreeeやマネーフォワードは生まれませんでしたよね、と言うとたいていの方は納得して頂けます。
食品会社のナビスコからCEOとしてIBMに移ったルイス・ガースナーは、当初「菓子屋に何が分るのか」と言われましたが、IBMを大型汎用機からクラウドサービスやコンサルティングを中心とした会社へと変革させました。
アップルの創業者、スティーブ・ジョブズは文系の人間でしたし、アマゾンのジェフ・ベゾスは金融出身でブックビジネスもITもそれほど詳しかった訳ではありません。
門外漢だからこそ、業界に慣れた人たちが見過ごしていることに気づき、業界に染まった人では考えもつかないような斬新なアイデアを出し、実行することができる可能性が高いのではないでしょうか。
業界に新しい風を吹き込むには、業界に長けている必要はない、むしろ往々にしてそれが邪魔になる、私はそう考えています。