『相棒21』で亀山薫が戻ってくると聞いたとき、『相棒』も今シーズンでいったん終わるのかなと思いました。

『相棒』は私が唯一追いかけているドラマなので、終わってほしくないという思いがある一方、「好きなドラマだからこそきれいに終わってほしい」という思いも強くありました。

 

そして迎えた最終回。その内容は、『相棒22』があることを確信させるものでした。

 

私は、素直に嬉しく思いました。

 

「きれいに終わってほしい」という思いが完全に消えたわけではありません。しかし、特にここ最近、長寿番組の終了や出演者の卒業を目の当たりにして心が沈んでいた私にとって、「また(まだ)新しい『相棒』を見ることができる」という事実は、気持ちを明るくしてくれるものでした。

 

さて、今回の事件は小野田公顕を含む13名の遺骨が盗まれるというセンセーショナルな事件でしたが、そのきっかけとなったのはある夫婦による殺人というものでした。

この「大きな事件に小さな真実」という構図を面白いととらえるか拍子抜けととらえるかが評価の分かれ目になると考えられますが、私は面白いと思いました。

 

正直、亀山薫と神戸尊の対面があったり、米沢さんの「鉄」らしい活躍があったり、その他もろもろ視聴者を喜ばせるような仕掛けが前・後篇ともに施されていたために、まんまと見る目が甘くなってしまっているところもあります。

しかしながら、今回のストーリーの肝となる「小さな真実」についても、単なる「子供のお遊び」ではなく、そこからもうひと展開あったのが良かったです。また、正義と葛葉のキャラも良かったと思います。

 

途中、「チクタク」なるものが出てきたあたりから、今回のテーマはZ世代批判で、犯行動機も「バズり目的」とかだったら嫌だなと思っていたのですが――前篇を見終えた時点ではどちらかと言えば「面白くない」という評価に傾きそうだったのですが――、それも杞憂でした。遺骨になってもヒ素は消えないんですね。それを知らなかったので(知っていたところで?)、真実が明らかになるまでは本当にストーリーが読めなかったです。

 

気になった点をあげるとすれば、葛葉が子供たち相手に団塊世代批判の講釈を垂れているシーンと、それに対して右京さんが葛葉を非難したシーンでしょうか。あそこらへんは『相棒』の悪いところが出てしまっているなと少し冷めてしまいました。いわゆる「言わされてる感」ってやつですね。

あとは最終回らしいスペシャル感もありましたし、全体的に満足のいく回でした。

 

『相棒21』の総評としては、平均点の高いシーズンだったと思います。なんと言っても第4話の「最後の晩餐」ですね。あれは久々に泣いたなあ。録画もまだ残しています。

 

「最後の晩餐」のような神回や、「砂の記憶」、「女神」のような傑作があったからこそ、私は『相棒』が続くことを素直に喜ぶことができたのでした。

 

来シーズンにも期待したいです。