テレビ神奈川で放送中の『キンシオ』という番組をよく見ています。この番組は、イラストレーターで文筆家のキン・シオタニ(塩谷均)さんが全国各地の街をぶらりと歩く旅番組です。この番組の特徴は、なんと言っても他の番組では取り上げられないようなごく普通の街も旅するところにあります。一見なんにもないような街でも、キンさんの視点を通じて見ると、 その街にも歴史があり、面白いスポットがたくさんあることに気づかされます。私も街歩きが好きなので、キンさんの考え方には共感できるところが多く、番組を見ていくうちにキンさん本人にも興味を抱くようになりました。

 

そして『キンシオ』を見るようになってから約1年後――昨年の12月、コピス吉祥寺の展示イベントにてキンさんとお会いすることができました。会場に来る前にコピス吉祥寺B館6階のジュンク堂書店で『コーヒーと旅』を購入したことを話したところ、快く本にサインしていただきました。このご時世なのであまり長居はしませんでしたが、本当にテレビで見たまんまの気さくな方で、もっとお話ししたかったです。

 

さて、『コーヒーと旅』についてですが、タイトルにもあるように、本書は「コーヒー」と「旅」という2つのテーマに関するエッセイ集です。それから、これはキンさんに教えてもらったのですが、本書のカバーの材質はコーヒーのフィルターに近い紙質なのだそうです。確かに普通の本とは違う手触りの良さがあり、キンさんの飾らない文体とあいまって非常に読み心地の良い本となっています。

 

読みやすく、かつ文章量も多くないので、人によっては1時間ぐらいで読み終えてしまうかもしれません。また、タイトルは『コーヒーと旅』ですが、あくまでもキンさんのエッセイ集なので、コーヒーに関する深い知識を求める人や、旅先の詳細な紀行文が読みたい人にとっては物足りないかもしれません。しかし、私のようにキンさんに興味がある人や、キンさんの考え方に共感できる人には間違いなくオススメできる一冊だと思います。

 

一気読みするのはもったいないと思ったので、私は寝る前にちびちびと読み進めました。思えば、私は『キンシオ』も寝る前に見ることが多いです。夜、真っ暗な部屋で布団に包まりながら『キンシオ』(の録画)を見ているととても気分が落ち着きます。まるでコーヒーのようなリラクゼーション効果……と言いたいところですが、コーヒーは寝る前に飲むものじゃないですよね。

 

 

(3月18日追記)

『キンシオ』は2022年の3月をもって放送終了となります。

正直残念でなりませんが、キンさんならまた何か新しく面白いことをやってくれるんじゃないかという期待もあります。

12年間お疲れさまでした。