本書は、第一部「むずかしい俳句に挑む」と第二部「動物俳句の知られざる世界」の二部構成となっています。

 

第一部の「むずかしい俳句に挑む」には、駄句になりやすい「孫を詠んだ俳句」や、「字余り」、「季重なり」のある俳句など、初心者はなるべく避けたほうがよいとされるテーマや型についての考察と投稿句が載っています。

このパートは面白く読むことができました。

味や匂いなどの表現が難しいテーマはどのように詠めばよいのか、また、「字余り」や「季重なり」はどのようにすれば効果的か――先人の名句や投稿句を引用しながらそうしたクエスチョンに対するヒントが書かれています。掲載されている入選句もハイレベルで、それらを見るだけでも買う価値アリだと思います。

 

第二部の「動物俳句の知られざる世界」は、動物を詠んだ名句の紹介と、それに関する夏井先生と落語家の江戸家小猫さんの対談となっています。

このパートは、個人的には微妙でした。

俳句に詠まれた動物の姿と、実際の動物の生態・習性を照らし合わせながら改めて俳句を鑑賞・解釈していくのは、確かに「俳句道場」の名にふさわしい試みではあるのですが、ページ数のわりに内容が薄く、「むずかしい俳句に挑む」だけではボリュームが足りないからとりあえず追加しました感があります。また、本パートでは江戸家小猫さんによる動物の鳴き声のものまねが俳句を読み解くうえでの重要な鍵となっているのですが、紙面上でそれをやられても……というのが正直な感想です。

 

なんとなくですけど、「動物俳句の知られざる世界」パートも楽しめる人は、俳句が上手い人、あるいは上手くなる人であるような気がします。