彼の笑顔に癒される時間。
もうここから、自分の心は一気に加速していく。
彼氏を作る気も、長く生きるつもりもなかったのに。
只ただこの人ともっと話したい。
この人といれば癒されるなどと、都合の良い想いが膨れ上がっていく。
久しくこんな感情がなかった為、舞い上がってしまったのだ。
2度目のこの対面では、昨夜の謝罪をまずはしっかり行った。それが第一の目的だったから。
彼は酷い酔っ払いようだったと言いながらも、軽い感じで許してくれた。
そこから、互いの今までの人生や価値観などを話した。
この時彼はまだ、助けてと泣いた昨夜の話は一切しなかった。
それは、メンヘラ女である私を警戒していたのだと後に教えてくれた。
彼は若い時水商売の経験はあったが、今は格闘技の仕事や海外での仕事など真面目に働いていることが分かった。また、良いとこの育ちだということも分かった。
様々話している流れで自然と自身の宗教について話していた。
彼は引くどころか、
「本当に良いものなら自分にも教えて欲しい。」
まさかの反応に驚きと共に嬉しさを感じた。
昔から恋愛の第一関門として、相手が宗教への理解を示してくれるかが重要だった。
当時の自分は不安定ながらも、まだ宗教にしがみついていたし。
熱心に励んでいる家族がいる為、辞めるなどとは微塵も思っていなかった。
私の生い立ちを読み矛盾を感じる人がいると思うが、当時の自分はまだ今までの人生や自分のことを分析できておらず、宗教に対しても疑心暗鬼ではあったが、信じたいという気持ちが強かった。
その為、人に話す宗教話は良い部分しか話していなかったし、受け売りの知識を話していたのである。
数時間話し、この日も家の前まで送ってくれ手も出さずに帰っていく。
既婚者なのだから当たり前なのだが、当時は知る由もなく誠実な人だと感心した。
そして、また次の日も会い。
数日後に会い、一気に距離は縮まっていった。
地獄へのカウントダウンだ。