共同湯もいくつかあり、古い歴史を誇る大湯温泉。
ここに一軒、旅館業を辞めてしまった元宿がある。

ここには底から自噴する湯があり、以前はその名湯を求め、湯治宿としてもにぎわっていたらしい。
オーナー家族の事情で残念ながら宿を辞められたわけだが、もちろん湯は湧き続けている。
そういうわけで営業はもうしていないのだが、とある紹介でその湯をいただくことができた。
ただし上の写真のように入口は基本的に閉ざされており、ここでは某扱いにする。
大湯温泉 「〇の湯」

非常に感じよく迎えていただき、「営業をやめてから浴室は手入れをしてないんですよ」と恐縮される。
入れていただけるだけで十分です、ホントにお気遣い無く、と返答する。
廊下を進み、階下に下がる感じで浴場へ到着する。
よい湯は階下原則だ

浴室は1つのみのため、脱衣所はシンプル。
以前は混浴だったのか、貸切式だったのか。

このドアを開けて思わず息を飲んだ…いや、飲まない者がいるだろうか。

天井の高い吹き抜けの浴室は、まるで洞窟を進んだ先にある広場のようであり、緑の苔や羊歯に覆われた岩が囲む空気感に圧倒される。
自然に出来たような浴槽が左右に一つずつ。
左の小さい方の浴槽からは無色透明の熱い湯が底から自噴している。

↑は熱い浴槽を真上から撮ったもの…窓からの光が反射している。
この浴槽に湧く湯はかなり熱い…温度計を持ち込まなかったが、50度ぐらいあっただろうか。
残念ながら一瞬足をつけるぐらいしかできなかった。
そして右下に少し見える樋状のところから、オーバーフローはすべてもう一つの温度の低い浴槽へ流れ込んでいた。

↑の階段の下に横切っているのが、その湯ロードだ。
しかしその流れ込む量以上に、温度の低い浴槽から出るオーバーフローの量は多い。
この低温浴槽の足元からも、無色透明の湯が自噴しているのである。
しかも奇跡の適温で

湯の中にカメラを突っ込んで、自噴の瞬間を動画で撮った。
そこから静止画で1枚。

分かりにくいけど、まず岩が温泉成分のため、温泉藻やら何やらで海の底のようにスゴいことになっているのがお分かりかと思う
真ん中に見えるような穴がいくつか開いており、手前の穴からボコっと湯が湧いた瞬間の写真だ。
それらの湧きたての湯は、豪快にオーバーフローしていく。

これ↑は低温浴槽からオーバーフロー側を見た画。
さて、肝心のその湯について。
分析表に温度の記載がなかったが、ぬるい方の源泉は浴感で40~41度ぐらいか。
ただし熱い湯が流れ込んでいるので、源泉温度はもう少し低いかもしれない。
成分総計1.42g/kg、pH7.8の、含硫黄-ナトリウム-塩化物泉。
無色透明で僅かな焦げ臭を伴った明確なタマゴ臭がある。
タマゴ味と、淡い塩味&ダシ味があり、美味しい

白い湯の花が多数あり、中にはかなり大きなものも多い。
溶き玉子状だ。

スベスベ感のある浴感も素晴らしく、絶妙な温度と新鮮極まる湯に包まれ、圧倒的な雰囲気と相まって、このまま時間が止まって欲しいと願ってしまう
野湯にも近いワイルドさは入る人を選ぶことは間違いないが、まさに温泉遺産。
一般開放しないとしても、永遠にこのまま存在して欲しい。
帰り際にこのぐらいはお支払いしたいという料金を手渡そうとしたら、全額は受け取ってもらえなかった。
200円だけ受け取られ、さらにジュースのお土産までいただいた。
大湯温泉 「〇の湯」
秋田県鹿角市十和田大湯温泉某所
含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
pH7.8
成分総計 1.42g/kg
無色透明
仄かな焦げのあるしっかりとしたタマゴ臭あり
タマゴ味、淡塩ダシ味あり
スベスベ感あり
大きな白い湯の花多量
足元湧出
完全かけ流し
2014年8月入湯
※数値はH18年の分析書より

