続いてさらに隣にある「河鹿園 」は広い庭園を持ち、建物も「奥津荘」「東和楼」とは趣が違い、幾分近代的(?)。
同じく自家源泉を持っている。
ただし他の2つと違い、足元自然湧出ではなく動力揚湯。
また泉温も38.4度と若干低く、ほんのり加温している。
やはり無色透明で泉質はpH9.1のアルカリ性単純温泉となる。
ここの浴場の特徴は先の2つの野趣溢れる浴場とは違い、何とも美しい造形的な魅力だ。
ぼくが訪れたときはまだ立ち寄り客が1人も居ない、言わば一番風呂だったのだが、見よ、この造形美を!
浴槽の微妙な曲線に対応するように洗い場にも段差が作られ、それに沿って並べられた8対の椅子と桶。
すべて小さなタイルを丁寧に並べられて造作されており、奥津の澄み切った湯が一番映えるブルーの浴槽。
そして心憎いエンジの縁があふれ出る湯をさらに美しく見せる。
まぶしいほどの陽光が差し込み、見事なタイル色の対比を見せるこの誘惑のラインからキラキラと輝きつつ溢れていく清冽な湯。
思わずため息が出る美しさだ。
また湯口の造形も素晴らしい。
デザイン的にここしかないという場所から扇形に広がるように注がれる。
加温と動力揚湯のマイナスポイントを補って余りある、心に残る浴場であった。



