Just what we wanted | 熊本大学ボート部

Just what we wanted

いつも応援ありがとうございます。A本です。

今回は、シングルスカルで出場した関西選手権の振り返りをお送りします。






結果は予選2着、準決勝3着で敗退となりました。






大会期間を通して強い逆風が吹き続け、8分半カットどころか、9分を切る艇すらほとんどいない異例のコンディションとなりました。2000mレースとしては、私にとっても初めての経験です。


いつもより約1分半も長く漕がなければならない上、ターゲットタイムも定まらない状況で、私はペース配分を見誤ってしまいました。


あの有名なRowing雑誌『Rowingの志』では、準決勝のレースを「1000mレースのような爆漕」とご紹介いただきましたが、あれは私に言わせれば「誤爆漕」。

いや、「暴漕」と言ったほうが正確でしょうか。


「Rowingの志」-「関西選手権レビュー」より

http://rowingcox.blog.fc2.com/blog-entry-911.html?sp


前半1000mで“元気に暴漕”し、応援してくださった皆さまに約5分間の儚い夢を届けたあと、第3クォーターで見事に散りました。

本当に、情けないレースをしてしまいました。

準決勝・第1Qのタイム(1:55.26)は、全選手の中で最速


スタートで飛び出すのは、レース前に決めていた作戦でした。普段は前半を抑えて入る私ですが、今回はあえて先行することで精神的な揺さぶりを狙いました。


――が、驚くほど冷静に対処されました。

慣れない作戦をとったことで、コンスタントに迫ってくる2艇に気を乱され、勝手にあたふたし…

試合後は「何やってんだろう」という気持ちでいっぱいでした。












“Just what we wanted”













これは、Matt PinsentとSteve Redgraveのマインドセットを象徴する言葉として、レース後などによく語られてきたフレーズです。


直訳すると「まさに望み通りだ」となりますが、この言葉にはもっと深い意味が込められています。


  • レースには波・風・他艇の動きなど、不確実な要素が常にある
  • そうしたすべてを受け入れたうえで、自分たちのレースを貫く
  • 勝敗に関係なく、自分がコントロールできることを完遂する


そんな哲学が、この言葉には込められています。


今回のレースでは、準備してきたことをほとんど完遂できず、“Just what we wanted”とは言いがたい内容になってしまいました。

「自分がコントロールできることに集中する」――それを自然体で体現できるのがトップアスリートであり、それこそが本当の“ベテラン”なのだと痛感しました。


自分たちのやるべきことを貫いた先にこそ、“Just what we wanted”と口にできる瞬間がある。

それはむしろ、勝ったときよりも、負けたときにこそ言えるような…

そんなレースを、私もできるようになりたい。




今回のレースでの気づきは大きく2つ。



  • ペース配分を誤ったのは、経験不足ゆえ。同じ失敗を繰り返さぬよう、この経験を忘れず次へ活かしたい。
  • 全日本クラスの選手たちは、“Just what we wanted”を自然と体現しており、精神的な隙がない。揺さぶりは効かない。自分自身も、この言葉を胸にレースへ臨むべきだ。


以上で関西選手権の振り返りを終わります。

応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

そして、これからのA本選手も、どうぞよろしくお願いします。




追記

シングルスカルだから “we” じゃなくて “I” だろっていうマジレスはご遠慮ください。