23歳、院生スカラーはまだチームを諦めたくない | 熊本大学ボート部

23歳、院生スカラーはまだチームを諦めたくない

先日の江津湖レガッタでは、お陰様でシングル初優勝を果たすことができました。M1の天本です。


大会の翌日、研究室に行くと、新聞を見てくださった先生方や院生部屋の仲間から、たくさんのお祝いの言葉をいただきました。

せっかくなので、新聞記事を切り取って、自分のデスクに飾っておきました。

デスクに飾った新聞記事


さて、大会ブログ以外の更新は久しぶりになります。

今回は、ずっと心にあったことを、独り言のようにただ書き連ねたものです。

少々読みにくいかもしれませんが、ぜひお付き合いください。


其れを以下に記す。



最近、以前の熊大ボート部のことをふと思い出す。


私が大学3年生だった頃。あの頃のチームは、今と比べると何もかもが手探りで、うまくいかないことも多かった。

車もたくさん擦ったし、遠征での忘れ物も数知れなかった。


それが今はどうだろう。

失敗した分だけ反省を重ね、チーム全体の要領は格段に良くなったと思う。

新歓では特に、それを強く感じた。


チームとしての経験や学びが、少しずつ蓄積され、引き継がれていることは本当に素晴らしい。


でも、最近のチームにはどこか違和感がある。


2、3年前と決定的に違うのは、「チームを強くしたい」というマインド。

あの頃は、頼もしい同期たちが部を再建しながら全体を鼓舞し、「勝ちたい」という空気がチーム全体に自然と流れていた。

けれど今は、残念ながらあの雰囲気があまり感じられない。


もちろん、今も日々自分と向き合って努力している部員はたくさんいるし、それ自体はとても素晴らしいことだと思う。

ただ、皆そろって「他人に干渉しようとしない」ように見える。


「自分ひとりが頑張ればいい」

そんな空気が、どこかで漂ってしまっているように感じてしまう。


でも、それではクルーボートで勝つことはできない。

なぜなら、人はほとんどの場合、自分の意志だけで頑張り続けることができないからだ。


今までの私は、「チームを強くしたい」という想いを表に出してこなかった。


かつて高校生の頃、筋トレをサボっていた同期を何度も注意した結果、その同期は部活を辞めてしまった。

それがきっかけで、私は他人に干渉することをやめた。

誰かを傷つけたくなかったし、自分には向いていないと思った。


でも、「誰かのために嫌われる勇気を持つこと」もまた、チームにとっては必要なことなんだと思う。


私がその役目を手放してからは、代わりにやってくれる同期がいた。

大学に入ってからも、2人の同期がその役を引き受けてくれた。


私はずっと、そうやってチームのことを他人任せにしてきた。

そして、自分の中の「チームを強くしたい」という気持ちを、ずっと閉じ込めてきた。


先輩は、後輩のお手本でなければならない。

院生になっても現役で漕ぎ続けている部内最年長の自分には、なおさらその責任があると思っている。

漕ぎの技術や練習方法については、お手本としてある程度は機能しているという自信はある。

でも、マインドの部分では、正直ダメだと思っている。


「自分ひとりで結果を出せばそれでいい」

そんな先輩の背中を見て育てば、同じようにチームを諦めたスカラーが何人も生まれてしまう。


それは、チームスポーツとしてあってはならないし、部の未来にとっても下策だ。


入学前に描いていた大学ボートの理想は、「エイトという花形種目で、全員が同じ目標のもとに力を合わせて進むこと」。


閉じこもったマインドでは、その理想は絶対に叶わない。

そう思って、去年の夏。思い切ってオッ盾のエイトに乗った。


あのときのクルーのマインドに、少しでも何か変化を与えられていたらいい。

7位の賞状を手にしたとき、「チームで勝つこと」の価値と難しさを、少しでも伝えられていたら嬉しい。


チームの目標は、常に2つ持っていたい。


ひとつは「現実的で短期的な目標」。

もうひとつは、「少し無謀で長期的な目標」。


熊大ボート部のこれまでの戦績を踏まえても、長期的にはやはり「日本一」を目指すべきだと思う。


「大きな目標を口にするのは恥ずかしい」

「口だけだ」と笑われるのが怖い


その気持ちも分かる。


でも、全国の大学を見てみてほしい。

多くのチームが「日本一」を掲げているが、実現できているのはほんの一部だ。


だからこそ、その目標を「口に出す」こと自体が意味を持つ。

それが、チームのスタートラインになる。


ましてや、12年前の熊大ボート部が実際に成し遂げた目標なのだから。


日本語は難しい。

声色、表情、言い回しひとつで、誰かを傷つけてしまうこともある。

23年間生きてきて、まだまだ「言いたいことが伝えられなかった」と後悔する日々ばかり。


だからこそ、言葉をじっくり選べる「文字」はすごいと思う。


ブログという形で、何度も表現を試行錯誤しながら発信できるこの場は、きっと自分自身のためにもなる。


みんな、もっとブログを書こう。


そこに、普段は言えない自分の本音を込めてほしい。

面倒に思えるかもしれないけれど、きっとそれが、誰かの背中を押すきっかけになるはず。


そしてこれからの熊大ボート部を、一緒につくっていこう。


もっと強く、もっと面白く。

そんなチームを、僕たちの手で。




どうぞ、次はあなたの言葉を聞かせてください。