コーチからニートになる
おはようございます。こんにちは。2019年卒業生の中村有博(なかむらありひろ)です。
2020~2022シーズンまで熊本大学ボート部のコーチをしていました。
いまとなってはただのOB兼ニート(無職)であるが、コーチがブログを書くのは珍しいものかと自分でも思う。このご時世、飲み会もコーチ歴の半分くらいが練習自粛期間であったため、与える言葉が少なかった分、ここで長文を書くことをどうか許してほしい。
ざっとぼくの経歴について。2013年に熊本大学に入部し、飲み会の楽しさ勢いにボート部へ入部し、気が付いていたら大学院まで漕いでいて6年がたっていた。この6年間で、輝かしい結果は残していない。インカレは準決勝止まり、全日本は出場なし、国体も補欠・サポートでついていったが、役立たずで工具すら触らなかった。それでもボートは僕にとっては魅力的なスポーツだったから、社会人になっても体は動かし続けた。江津湖と斑蛇口湖には行き続け、そんな中でコーチをするお話をいただいた。2022年に仕事を辞め、都合上コーチもやめることになり、最後にこのブログを書いている。
ぼくが関わったのは2シーズンと少し。始めたきっかけは、あまりにも学生の練習環境がただの野放し状態でひどかったからだ。OBよりもコーチという肩書で少しでも経験を与えられたらと思って始めた。
「教える」というのは難しい。向いている向いていないが含まれているかもしれないが、僕は後者側だったろう。「伝える」ための言葉のチョイス、技術について知識を持っているか、選手の現状把握、何が学生にとって最適解なのか。考えればたくさんある。経験を踏まえて話すことが多いので、学生時代で選手だったとき何も考えてなかったな、とも思い振り返るときもあった。
全員に一致することではないが、僕が学生のときにコーチにこうして欲しかったことを学生にするようにした。加えて、学生の提案、考えはよっぽど間違った道じゃない限り(ケガのリスク、人への悪影響など)、否定はしないようにした。まずはトライさせてみた。
一番に大事にしていたのは、「楽しむ」ことを学生にボート部を通してしてもらう。”楽(らく)”をするのではなく。いま、これからを楽しむためにどのような言葉を掛けたらベストか考えた。ボートは速く漕げた方が楽しい、単調になる日々にならないように刺激をいれる、そしてもっとボート(スポーツ)を続けたいと言ってもらえるようにする。大学を卒業してもボートを続けてくれるのは最大の喜びであって、別のスポーツを始めるのも喜びである。スポーツじゃなくても、社会人になって仕事以外にも熱中するものを見つけてほしい。仕事だけの人生はたいていは面白くない。
「教える」ことに正解はないのだろうけど、やはり後悔はする。もっと練習メニューを変えていればとか、この言葉がよかっただろうかとか。見えない力に押し負けたときもあった。2021年シーズンは出場を断念した際は、何か他に大会はないかと探したし、学生の力になれない無力さをあった。インカレに出場した2022年シーズンは、勝負できる位置まで持っていくことができず申し訳なかった。レース中盤~終盤に失速するのは、明らかに冬・春練習の漕ぎこみ不足が原因である。この期間が大学側からの練習自粛。これを補うような練習や技術を提供ぼくからできなかったのも明確でもある。
最終的には、2年ぶりにインカレ出場、4年ぶりにオッ盾を出場を実現させてコーチを終えた。学生の想いが支えになり出場が実現できた。これは2020,2021年シーズンも含めてである。コロナ禍という、大会が開催されるかも不透明な中、漕ぎ続け、準備し、見えないところで闘っていた学生がいることも忘れないでいてほしい。彼らが紡いでの2022年での出場が実現した。
これまでを振り返っても、教えたこと、2シーズンほど携わったことがカタチには何も残らないコーチだった。それでもこの先、日本の四季、季節のように「あ、季節が変わったな」とふと思い出してもらえるような存在でありたいと願い、このブログを書き残します。またどこかで会いましょう!