人との別れは、その人を失うだけでなく、
付随していた安心感も失い、不安になる。
相手の死は、自分がもぎ取られる感覚。
相手の記憶から自分が全て抹消される。
その人の中で自分が生きていたことも
完全に抹消される。
大切な人との別離で分かること。
人は死んだら何も残らないということ。
これを受け入れることは大変だ。
大いに涙し、悲しむことに時間をかけて
共有した時間を振り返って、思い出す。
その人を忘れず、意思を継いでいくため、
その人のことを後世に伝える。
これが、亡くなった人への供養でもあり、
残された者の務めでもある。
歳月は死者を見せてくれるようになる。
死者を偲ぶとき、その人は近くにいる。
「亡くなった人が自分の中にいるから
死んだら終わりって思っていない。」
「死後の方が逆に、その人が鮮やかで、
死者がそこにいる感覚がある。」
心で見なくちゃ肝心なものは見えない。
さよならも力を与えてくれる時がある。
