コロナと個人データ 活用目的と範囲を明確に
政府が新型コロナ対策で情報通信技術(ICT)を使った個人データの活用に本格的に乗り出す。来月には感染経路を追跡するスマートフォン向け専用アプリを導入する。
保健所が患者から濃厚接触者を聞き取る現在の手法では経路を追い切れなくなっているためだ。政府専門家会議もデータ活用を提言しており、感染対策上の必要性は理解できる。
ただ、健康状態に関わるデータを扱う以上、プライバシー保護に配慮した慎重さが求められる。
追跡アプリは官民が連携して開発中で、利用者に無料で提供される。スマホにダウンロードした人同士が一定時間近くにいると、近距離無線通信「ブルートゥース」を使って履歴が記録される。感染が分かれば、保健所を介して近くにいた人に通知が届く仕組みだ。
アプリは希望者のみが使い、通知は匿名で行うという。ただ、外出自粛で個人が一定時間接触する人の数は減っており、結果的に感染者が特定される可能性もある。
個人データを使った感染対策はアジア各国が先行する。韓国はスマホの位置情報やカードの決済履歴などのデータをフル活用して感染者を洗い出している。
シンガポールは3月に感染追跡のためのアプリを導入した。ただ、国民の反発を考慮して個人の居場所自体を追跡できるスマホの位置情報の使用は避けた。日本も参考にした。
位置情報を使わなかったにもかかわらず、シンガポール国民のプライバシーを巡る懸念は根強く、利用は全人口の約6分の1にとどまる。シンガポール政府は「4分の3が使わないと効果が上がらない」と苦慮している。日本も同じ課題に直面する可能性がある。
企業が持つ個人データは本来、本人の同意なしに外部に提供できない。ただ、感染症対策など公衆衛生上必要な時は例外が認められる。このため、政府内には「もっと踏み込んだデータ活用を検討すべきだ」との声もある。
だが、非常時であることのみを理由に個人情報の保護をないがしろにすることは許されない。政府はデータ活用の目的や範囲を事前に明示するなど、国民の理解を得る努力を尽くすべきだ。
【2020年4月24日/毎日新聞/社説】引用
新型コロナウイルスによる外出自粛要請。私は昼夜逆転となってしまい、夕方に起きだして夜中にゴソゴソな生活になってしまった。
テレビやネットニュースを見るのがほとんど。時間が余ればYouTubeなどを見てます。
さてさて、そんな行動履歴などは携帯やスマホ内蔵の機能やスマホアプリを見れば一目瞭然。
本人が自分の履歴を確認するためには役立つものであるが、「他人が」となるとどうすべきか。
現在であれば、この機能を使い「誰が誰と接触した」ことも下手をすれば「どんな話をしたか」も知れるという噂まである。
実際某国などでは使っているのでは…、との噂まである。
日本においては、プライバシーの問題があり、そう簡単には知れないようにはなってきた。
しかし、その制度ができてから初の事態。
GPSなどを使い記録や収集したデータを、どこまでウイルス対策に活用するのか。
何が非常事態で、何を緊急事態とするのかの定義も、その際に何をどこまでのデータ利用するのかも定まってはいない。
すべてが未決のままでの突入になったことは、今回は致し方のないことは理解できる。
コロナ終息後に、国と国民で話し合うべきことがまた一つ増えた。