昨方、返文を頂きし皆様方、
誠に感謝しとります。
寒九の雨と云う言葉を知っとるかな?
かんくのあめ と読む。
寒入りして九日目の雨の事を指す。
つまり睦月十三日頃。
これは豊作の兆しじゃと呼ばれており、大変有り難き事である。
また、この雨が降る地は春が近いのじゃと云う。
そう云わば、飯田丸の梅の花が咲いておったの。
十三日は雨が降ったかな。儂は忘れてしもうたが。
寒の時期には菌が繁殖し辛い。
それ故、寒九に薬を飲むのも良しとされておる。
この水を寒九の水と云う。
もう寒九の時期から大分過ぎてしもうたが、此度は雨天。
睦月の雨とは、なかなか堪えるのう。
心の声
(脚が冷たくて仕方ない。暖をとりたい)
此度は忠興様、行長様、島津様、才八の布陣にて。
雨天じゃと、槍の代わりに傘を持つ。
この時期は誠に寒うある故、身体が縮こまる。
して風を避けんが為、物の間に入る。
まるで、笠地蔵の如し。
寒九雨
過ぎて春雨
春霖の
長く続きて
待つか五月雨
されば、今宵は此にて
加藤家三傑 狼臣 直景