朋緒は思い出した。
初めてオジサンを見たのは家の前、カラスにくわえられていたっけ。
あれもたまたま家の前だったわけじゃなくて、ママに会いに来てたってことだ。
ママはオジサンをそっと朋緒から受け取り、ベッドに横たえた。
「たった一人の友達だったの」
「えっ」
「小人のオジーは」
「...」
「私ね、朋緒くらいの時かな、学校行ってなくて」
「そうなんだ」
「うん。ずっと家にいたの。この部屋に」
「そうしたら、オジサンが来たの?」
「そう!
そこの、机の側の窓に植木鉢があってね、そこにちょこんといたの」
「一緒だ!」
朋緒は嬉しくなった。
「オジサンは私にかっぱえびせんがほしいって言ったんだよ、
最初にママがあげたんだよね、かっぱえびせん」
「そう、『こんなうまいもん生まれて初めて食べたわ』って」
ママも嬉しそうに言った。
「やめられない止まらない~」
「かっぱえびせん!」
ママと朋緒は声を合わせて歌い、微笑み合った。
「忘れてたけど思い出したわ、ありがとう。朋緒のおかげね」
「あっ!」
「どうしたの朋緒」
「もしかしてこれ…このかっぱえびせん」
朋緒は想像した、それはとても悪いことだ。
涼太は、オジサンを消そうとしているカラスのボスの仲間かもしれない。