後楽園ホール。
関東女子プロレス、年末のビッグイベントとも言えるこの大会、
アタシとクレハの試合は一番最後だ。
控え室の鏡の前のアタシはさながら、仮面舞踏会に参加する貴族の装いのよう。
まもなくだ、大きく深呼吸をする。
「日奈子さん、一段とキレイですよ」
マイカは鏡の中のアタシに微笑み、赤いロングヘアをとかしてくれた。
「ありがとう」
ノックの音がする。
「日奈子、行くぞ」
橋本の声だ。
今日のラストステージでレフェリーをつとめることになっている。
アタシは立ち上がり、黒地に金の縁取りの仮面を付ける。
赤いボンテージコスチュームにマントを羽織った姿、
そう、鏡の中の女に恐れるものなどない。
「おお、いい仕上がりだな日奈子」
馴れ馴れしく肩に触れたその手をねじり上げた。
「おい、いてえよ!」
「誰に向かってモノ言ってんだよ!ええ?」
そのまま橋本を突き飛ばし、アタシは歩いて行く。
マイカは慌てながらも後ろについてきた。
「かっけえ、日奈子さん!」
上等だろ、今夜は手加減などしない。
「どっちが女王か、今夜ハッキリさせてやるよ」