様子がおかしい。
目は開いているが白目になっている。
「オジサン?どうしたの?
喉にかっぱえびせん詰まったの?ねえ?」
朋緒はオジサンを縦に抱き上げ、背中をトントン叩く。
公園で赤ちゃんにゲップさせていた若いお母さんが確かこうしていた。
「オジサン大丈夫?オジサン!」
「朋緒?
どうしたの?」
あ。
ママが帰ってきた。
「朋緒」
部屋の襖が空いた。
「ママ!」
そうだ、ママにはオジサンが見えないんだ。
でも。
ママは朋緒が胸に抱くオジサンをじっと見ている。
「…オジー」
「えっ?」
すると、ママの目から見る見るうちに涙が溢れ、流れ出した。
ママは朋緒の傍に座り込み、小さなオジサンの頬を撫でた。
「オジー。
忘れててごめんね。
もう一度私に会いに来てくれたんだね」
そうか。
朋緒の中で、今朝の夢とママが繋がった。
オジサンに初めてかっぱえびせんをあげたのは、ママだったんだ。