「オジー、これ食べる?」
「なんやこれ」
「かっぱえびせん」
「カッパえびす?」
「アハハ!なにそれ」
オジサンはかっぱえびせんを一本こわごわ両手で受け取り、匂いを嗅いだ。
「おお!これは」
「かっぱえびせん、だよ。
やめられない止まらない、かっぱえびせん!」
オジサンはたまらずそれにかぶりついた、一度、二度、三度。
「ぐふっ!」
「大丈夫?」
「水、水!」
「ちょっと待ってね、あ、これがいいかな」
鉛筆のキャップに少し水を入れて、オジサンにそおっと手渡した。
オジサンは水をぐびぐび飲んだ。
「はあ~、生き返ったわ」
「慌てなくて大丈夫だよ。かっぱえびせんは逃げないから」
「おおきに。
いやあ、こんなうまいもん生まれて初めて食べたわ」
あれ?
朋緒は目を覚ました。
もう朝だ、ベッドに光が差している。
今のは夢?
違う。
この指につかんだかっぱえびせんの感触がやけにリアルだった、匂いも。
オジサンあの後来たのかな?
学習机の引き出しを空ける、そこには開封していないプレミアムかっぱえびせんがあった、昨日涼太から貰ったものだ。
そうか、オジサンは来なかったんだ。
あ。
朋緒は気づく。
かっぱえびせんの袋、こんな柄じゃなかったよ。
それに私、オジサンのことオジーって呼んでた。
かっぱえびせんの歌も知ってた、歌ってたよね私。