「わかったよ。一緒に小人のオジサンを守ろう」

「わあ!

ありがとう涼太くん、ホントにありがとう!」

朋緒は涼太の手を両手で握った、

しっとりして柔らかい感触だった。

 

「涼太くん、前にさ」

「うん?」

「『日本が滅んだらいい』って言ってたよね。

あれはどうして?」

「...」

「ほら、来年の予言のこと話してた時。

覚えてない?」

「ええと、いや覚えてるよ」

「なんか嫌なことあったの?」

朋緒は涼太の目を見ている。

「だって日本が滅ぶって、私たちみんな死んじゃうってことだよね。

家族も友達も。

地震で家や学校もつぶれるかも。

津波で流されるかも。

私んちなんて古いからきっと全部崩れると思う。

もしも自分は助かってもみんないなくなったら、うんと悲しい。

だから予言なんて外れてほしい」

「...」

「私は涼太くんにいなくなってほしくない」

「大丈夫だよ。

朋緒ちゃんは大丈夫、助かる人だよ」

涼太は、朋緒のオジサンを助けたい気持ちがほんの少しわかったような、気がする。