朋緒は「カウンセリング」に連れていかれることになった、
ママと一緒にタクシーで「先生」のところに向かっている。
「一人じゃないって、じゃあ誰と話してたっていうの?」
朋緒は黙る。オジサンとの約束だから誰にも言えない、二人だけの秘密だ。
ママは大きなため息をつく。
朋緒は自分の居場所がなくなったような、心細い気持ちになった。
「勝手にこんなお菓子買ってきて」
ママはかっぱえびせんの袋を取り上げる。
「それ友達にあげるの。だから返して」
朋緒は精一杯の強い気持ちでママに言った。
ママと来たのは古いけど大きな一軒家だ。
上手く言えないが、怖い。
何かよくないことが起こりそうな気がする。
ピンポンしてしばらくすると目が鋭く髪の短い、ちょっと丸い体型のオバサンが現れた。
「よく来たね。あんただけこっちの部屋にはいんなさい」
朋緒一人だけ呼ばれた。
ママは違う場所で待っているらしい。
部屋に入るなり彼女は言った。
「小人だね?」
朋緒は息が止まりそうになった。
このオバサンなんでわかるんだろう?
「あたしには見えるんだよ。
あんたの側に一人の小さな男がいるだろう?」
「いないもん」
「やめられない止まらない~」
オバサンは何と、あのかっぱえびせんの歌を歌いだした。