「ぐふっ!」
たくさんほおばりすぎたせいかかっぱえびせんが喉に詰まったようだ。
「トモちゃん、お水お水」
「ここにあるよ」
「おおきに」
「そんな慌てなくてもいいよ。かっぱえびせんは逃げないから」
するとオジサンは朋緒をじっと見つめた。
「どうしたの」
「いや…同じこと前に言われた気がする、誰かに」
「そうなの。誰かって誰?」
「いやそれが…思い出されへん」
オジサンは半分ほどのかっぱえびせんを両手に持ち考え込んだ。
なんかフランスパンを抱えているようにも見える。
「いいな、オジサンは」
「何がや」
「だってほんのちょびっとのお菓子でもそんな大きいし。
私なんてたべっこどうぶつあっという間に食べちゃうよ」
「なんもええことあれへんがな、カラスには襲われるし」
あ、そういえば朝も家の前に。
「ねえ。なんでカラスオジサンを食べようとするの?」
「わしが美味しそうやからやろ」
「え?」
「そこは突っ込むとこや、んなわけあるか~い!て」
「...」
「食べはせん。あいつらはわしを連れていくつもりや」
「連れていくって、どこに?」
「『あのお方』のところや」
オジサンの頬が引きつっている、
どうやらカラスにはボスがいるらしい。