「それ知ってる!タツキ何とかの予言」
「漫画家でしょ?『私の見た未来』って本」
朋緒が答える前に、二人の前に座る隼人と摩理沙が振り返って言った。
「2025年の7月5日に大地震と大洪水が来るって」
「またあんたたち、都市伝説の話?」
もう谷口先生、教室に入ってきてたんだ。
「はいみなさん、起立!
今日もよろしくお願いしまあす!
着席」
先生はお腹のふくらみがが目立つようになってきた。
来月から『サンキュー』でしばらくの間お休みするそうだ。
「さっきの話ね。
昔私もね、みんなくらいの時かな。
『ノストラダムスの大予言』てのが流行ってて、1999年7月に『恐怖の大王が空から来る』って予言があったの。
私たちも盛り上がってて、隕石が降ってくるのか、それとも宇宙人が襲ってくるのか、それとも最終戦争かって。
でも…予言は外れて何も起こらなかった。
他にも今まで色々あったのよ、マヤの暦が終わり人類は滅ぶっていう予言も。
それも当たらなかったしね」
涼太を見ると口をへの字にしている。
「だから来年もきっと大丈夫。
これから生まれるこの子になんかあったら大変だもの。
もちろん地震や災害はいつ来るかわかりません。
だから先生は水と缶詰、防災リュックは備えてるよ、みんなもお家の人に確認してみてね」
「あ!」
朋緒は思わず声を発してしまった。
オジサンが窓の外から朋緒を見ていたのだ。
ここは三階、どうやって登ったんだろうか。