写真が映し出される。
タキシード姿のサッチンと白いドレス姿のジンナイさんだ。
結局式は挙げなかった。
サッチンにはもうそんなに体力が残っていなかったからだ。
役所に婚姻届けを提出しただけだった。
サッチン、男前やん。
写真館に付き添ったリカがそう言うと頭のてっぺんまで赤くなった。
それにしてもジンナイさんは、実に美しかった。
裾の広がった若い人向けのウエディングドレスではなく、スリムなマーメイドラインというのか、あしらったレースも上品なドレス姿。
デコルテも鎖骨がはっきりして綺麗だった。
サッチンは言った。
「僕は、こんな綺麗な女性を初めて見ました」
「普段見てるのが綺麗じゃない女性ですからね」
冗談めかしてそう言うリカにサッチンは、
「リカさんはリカさんです。
あなたはそのままで、いつまでもリカさんのままでおってください」
「そうよリカちゃん。
あなたは特別な人よ、この人にとっても、私にとってもね」
ジンナイさんは笑った。
サッチンは、ジンナイさんとは夫婦別姓のままでいいと言った。
その理由は、
「こんな素敵な女性を独り占めしたら、それこそ罰が当たり天国にいけまへん」
とのことだった。
写真を見るジンナイさんは泣き崩れている。
サッチンの言う通りや、喪服のジンナイさんも綺麗だった。