何枚もの写真が大きく映し出される。
それは英会話教室での風景だ。
講師のサッチン、その隣で英会話の書かれたボードを持つリカ、
急に指名され、慌てながらも笑顔で答える婦人たち。
いつもの授業の一コマだった。
それを見ながらリカは続ける。
「サッチンは生徒の皆さんによくこんなことを語ってました。
『いいですか、学ぶことをやめたらあきまへん。
僕らの人生今まで生きてきて、いろいろままならんことがあったやろうと思います。
こうして笑顔でイングリッシュしてる皆さんの中にも、悲しい、お辛い日々を送ってこられた方がおられるでしょう。
突然に降りかかってくる出来事を、避けることは僕らには出来ません。
しかし人間は他の動物とは違い、運命を変えることが出来るんです。
その方法はなんやと思いますか?
それは、学ぶことです。
学ぶことだけが運命に立ち向かい、流れを変えることが出来るんです。
学び、そして反復する。
何度も何度も繰り返して自分のものにする。
難しいと思えることが当たり前のことになる。
そうして新しいあなたに変わることが出来るんです』」
サッチン、私は変わったのかな?
「リカさんはリカさんです。
あなたはそのままで、いつまでもリカさんのままでおってください」
流れる涙を止めることは出来なかった。