リカは結果にガッカリしたものの驚きはしなかった。
全然時間が足りなかった、最後まで問題を解くことが出来なかった。
そうか、これが準二級と二級の差なんだ。
予想はしていたが、やはり体から力の源が失われていくのをどうすることもできない。
サッチンのラインに結果を送るとすぐに返信がきた。
「リカさん、大丈夫です。
合格はそんなに遠くありません。
そやけど、語彙に加え文法の理解が足りてないと感じます。
僕がお勧めする文法のテキスト本がありますからそれを使って下さい」
「『それ』ってどれやねん」
リカは思わず突っ込みを入れた。
仕事を上がりスーパーで買い物してきたリカが帰宅すると、なんとサッチンがリビングに上がり込みミクと笑い合っていた。
「あ、お母さんお帰り」
「リカさんお邪魔してます、お仕事お疲れさん」
テーブルを見ると大皿の上に肉じゃが、スペイン風オムレツ、そして鍋にはミネストローネスープがあった。
「お母さん。サッチンむっちゃ料理上手いねん、どれも美味しいで」
「これみんなサッチンが?」
「疲れて帰ってきてそれから料理作るんしんどいでしゃろ。
リカさんのお口に合うとええなあ思います。
それとこれ。
僕からリカさんへのプレゼントですわ」
緑のその本の表紙には「総合英語 Evergreen」と書かれてあった。