その日は学祭の打ち上げがあり、一旦ミドリとは別れた。

その後私のアパートの近くのファミレスで待ち合わせした。

ミドリはすでに席についていて、

「きいちゃんここ、ここ!」

大きく手を振ってくれた。

あ、着替えてきた?

「うん、だって汗かいたもん。

でも活気あって楽しかった~!

美大って独特、着ぐるみ歩いてたりそれいきなり周りで踊りだしたり、パフォーマンス?

遊園地みたい。

うちはほら、女子大やからこじんまりしてるねん」

もう終わったん、学祭。

「うん、先月。

あ、きいちゃん生ビール?」

そう言ってテキパキ注文してくれた。

「じゃあ改めて。

二人の再会に、カンパーイ!」

ひゃああ!うまっ。

このために生きてきたあ!

「あははっ、きいちゃんおもしろ~」

ポテトフライや枝豆を二人でつつく。

「そうかあ。きいちゃんは一人暮らしなんや、

それええなあ」

うん、朝起きれなくって。

学校の近くにばあばが借りてくれてん、アパート。

ミドリんち同じ沿線沿いやってんな。

「ねえ?

きいちゃん、これって私たち赤い糸で結ばれてるとしか思われへんよね?」

ミドリ。

あんた「魔性の女」って言われへん?

「なにそれ、褒め言葉なん?」

いや、今までそうやって何人も男たぶらかしてきたんやろなって。

「ええ~!きいちゃんひどお!

それただの悪口やん」

そう言いながらも楽しそうだ。

明日は早いん?

「ううん。授業は午後からだけ」

ほんなら、ねえ、うちけえへん?

コンビニでなんか買って飲みなおそうよ、

お互い積もる話もあるし。

心臓バクバクしながらそう言った。

「やったあ!

嬉しい、行きたい行きたい!」

私の顔真っ赤っかだろうな。

これってきっと、

好きな子を初デートに誘う男性の気持ちだ。