前回に引き続きJones骨折についてです。

 

 今回はJones骨折の発生因子について、その中でも特に「個体因子」について文献でどのように言われているのかをまとめてみました。


【Jones骨折の個体因子】


 ・後足部内反位 ➡ 足部外側荷重となり第5中足骨への応力集中を招く。


 ・前足部外反位 ➡ 後足部内反による外側部荷重の負荷を減弱させている。


 ・下腿前傾角度が小さい ➡ 荷重時に中足骨部への負荷が増大。

 

 ・股関節外旋筋機能不全 ➡ 足部外側荷重となり第5中足骨への応力集中を招く。

 

 ・復帰に3週間以上を要した足関節捻挫の既往 ➡ 後足部内反傾向を助長し、外側荷  

  重を招きやすい。


 ・足関節底屈筋機能不全 ➡ スポーツ動作時(特に切り返し動作時)の足部外側筋群 

  (腓骨筋群)への過負荷の要因になり得る。


(参考文献)

 ・松田匠生:サッカー選手におけるJones骨折既往者の足部構造の特徴及び足部構造が

  方向転換動作時の足底圧に与える影響

 ・臨床スポーツ医学:2008Vol.25,臨時増刊号pp303-310,第5中足骨疲労骨折予防のため

  のトレーニング法;鈴川仁人  

 

今日からブログ始めました。


 普段は理学療法士として、スポーツ整形外科クリニックに勤務しております。 日々の治療の中で抱いて

いる疑問や、知識を整理し、より良い治療を目指し始めてみました。そんな中で、少しでも何かの役に立

てるようなブログになればと思います。

 まず最初に、個人的に興味のあるJones骨折について整理してみます。

Jones骨折の特徴】

Ø サッカー選手において好発する。

Ø カッティングやステップ・ターンなどの動作が多い運動で発症しやすい。

Ø なかでも高校生から大学生の年齢層において好発する。

Ø 難治性で、再発が多く治療に難渋する疲労骨折である。

Jones骨折の病態】(下の絵参照)

Ø 5中足骨基部に特徴的な横走する骨折線が見られる。(中枢から1.5㎝あたり)

Ø この部の中枢端は短腓骨筋腱の付着部で、底側は、中足間靭帯・足根中足靭帯などの強い靭帯

  組織で立方骨と第4中足骨に強固に固定されている。

Ø カッティングや切り返し動作、ランニングなどの踏み返しにより、地面から受ける剪断力や捻りの

  負荷が集中し、この牽引力によって、近位骨幹部外側皮質に引っ張り応力が繰り返し起こり発症

  すると考えられる。


 【Jones骨折と第5中足骨への血液供給の関係】



 この絵は、第5中足骨ですが、第5中足骨基部で起こる骨折をJones骨折ということはもう分かって頂け

たと思います。絵で見ても分かるように第5中足骨基部は、血液供給が疎な部分となっており、そのため

骨融合が得ずらいとされています。



 また、Steven P. Arnoczkyによる墨汁検査においてもJones骨折の部位が血液供給が疎な部分であると

いうことが証明されました。Arnoczkyの結果では、最初に示した絵よりも、より血液供給が疎な部分が多

いことが分かります。(Aの絵)

次回は、Jones骨折の発生要因についてまとめてみようと思います。

(参考文献)

臨床スポーツ医学:Vol.31No.5pp444-449 サッカー:第5中足骨疲労骨折;田中寿一

臨床スポーツ医学:Vol.31No.7pp644-651 Jones骨折;田中寿一

The Intraosseous Blood Supply of the Fifth Metatarsal: Implications for Proximal Fracture Healing

Judith W. Smith , M.D., Assistant Professor of Orthopaedic Surgery1 *

Steven P. Arnoczky , D.V.M., Dipl., A.C.V.S., Director1 ,3 ,

Alexander Hersh , M.D., Attending Orthopaedic Surgeon1 ,