学習能力の無い采配…。サッカー日本代表の敗因とは? 大量ベンチスタッフは何の役目「疑問」 | ロメロの言いたい放題

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●前半は、守田の得点で主導権を握る

学習能力が無いと話しましたが、HT(ハーフタイムでの改善)が、後半の勝負の分かれ目だと思っていました。

しかし、後半に球際のプレスとロングボールでギアを上げてきたイラン代表に対し、成すすべないまま流れを持っていかれ2失点で逆転負けをした。

明らかに流れが悪いときにベンチの動きがない。W杯までのコーチングスタッフが「名波」「前田」に替わったが、前回大会の決勝前半と同じで、森保 一監督および日本代表スタッフの弱点がもろに出た。狙われていた板倉滉のところを町田浩樹に交替させるか?5バック化してカウンターモードに切り替えるか?或いはフリーでロングボールを蹴らせないように前線の構成を変えるか?など、打ち手はあったと思う。勿論、そうしたら上手くいくかどうかはわからないが、何もしないという選択は「無為無策」疑問だ。

イラン代表は、パワーと高さという自分たちの長所をできるかぎり前面に出して戦い、勝利を手繰り寄せたわけだが、一方で日本代表は自分たちの強みを発揮していない。少し引いた見方をすれば、それが完敗につながったのではないだろうか?

立ち上がりからイラン代表のアフターチャージが目立った。冨安健洋の両足を踏みつけ、守田英正にレイトタックルを仕掛けたサルダン・アズムンはレフェリーから注意を受けたが、球際で引かない意思を見せ、更にダメージを与えようとする挑発的な姿勢だった。

ただ、立ち上がりの日本代表は挑発に乗らず、相手のロングボールも確実に跳ね返し、徐々にボールを支配して押し込み始める。引かれても焦らずに守備の綻びを辛抱強く探っていく流れはラウンド16のバーレーン戦と似ていた。

 

●完全に裏目…。ギヤチェンジに居ない伊東純也?

28分、守田の縦パスを受けた上田綺世が背後からのチャージに耐えて守田へ返し、守田が半ば強引に中央を突破して先制した。その後も久保建英がライン間で受けて、相手DFを引っ張り出し、裏を狙う攻撃は有効だった。しかし、日本代表の最大の強みであるはずのサイド攻撃に今ひとつ威力がなかった。

伊東純也の離脱が痛かったとはいえ、右ウイングに久保を起用することはできたはずです。相手にとって最も脅威になるはずの久保、三笘薫の両翼を温存したために、追加点を奪えそうな迫力を出せなかった。前半は、ある程度膠着しても、後半途中で三笘と南野拓実を投入して勝負をつけるつもりだったのだろう。

しかし、後半は完全にイラン代表に流れを持っていかれたので、結果論ではあるが前半の膠着上等策は裏目に出てしまった。前線プレスのスイッチ役の前田・久保を代えてはダメだ。これで、イランDFラインからのロングボールの間合いが遠くなってしまった。

24分に板倉がイエローカードを貰ったのは、微妙な影響を与えたと思う。負傷の影響もあったのか?精彩を欠いた。39分に処理ミスからシュートへ持っていかれたのは、後半の伏線ともいえる。

40分あたりからイラン代表はビルドアップで、VOを落として3枚回しとし、フリーを作って、ロングボールを蹴り始める。日本代表は、一時撤退してミドルゾーンに構え、前半を1-0で折り返した。攻撃の迫力に欠けていたとはいえ、ここまでの流れは悪くなかった。

後半、イラン代表はロングボールのターゲットを板倉(日本代表DFの弱点)に定め、こぼれ球を拾っての二次攻撃やハイプレスを狙う。

50分、アズムンが板倉と入れ替わってシュートするが、GK鈴木彩艶がストップ。アズムンはオフサイドだったが印象的な場面だった。

55分、アズムンが冨安を背負ってターンし、モハメド・モヘビへ絶妙のラストパス。モヘビが決めて1-1となった。得点自体は見事な個人技と連係によるものだが、きっかけはGK鈴木からのロングボールをカットされたところから。日本代表が相手の圧力をパスワークで、外し切れなかったことが遠因といえる。

 

●対戦相手に得手不得手がある…日本代表。大会を通じて露呈した改善点

64分にもロングパス一発でアズムンが抜け出し、板倉をかわしてシュートを決めるが、際どくオフサイド。ロングボールが明らかに脅威になっていて、何かしらの手を打たなければならない状況だった。

67分に久保に代えて南野、前田大然に代えて三笘が登場するが、悪い流れを変えるには至らず。ロングボールの出し手にプレッシャーがかからず、かえって状況は悪化していった。

ボールが空中にある、跳ねている展開は、パワーのあるイラン代表に有利。その流れを変えられないまま、アディショナルタイムにロングボールの競り落としからPKを与えてしまう。セカンドボールは、板倉が触れそうだったが、背後に冨安がいたので、躊躇したのか?2人の間にボールは落下。拾われたところを板倉がファウルしてPKとなり、これが決勝点となった。

ロングボール対応が直接の敗因だが、ビルドアップ不全も流れを変えられなかった原因だろう。押し込んでしまえばロングボールの脅威は激減するが、中途半端にロングボールを蹴ってカットされ、ラインを上げられないまま蹴り返されるので、セカンドボールの回収も難しくなった。つまり主導権の取り合いで負けていて、劣勢がはっきりしていた以上、頼みの綱はベンチワークだったがそれもなかった。

欧州の強豪に勝てるが、アジアで苦戦もするし敗れもする。格上の相手に勝ち、格下に負けるのがサッカーであり、力量差がないイラン代表に敗れるのは不思議ではない。はっきりしているのは、「日本代表には得手不得手がある」ということです。苦手な戦いに持ち込まれたときにどう対処するかという大きな課題が残された大会となった。

 

●この二人の試合分析が、一番確信を付いている

西部謙司(にしべけんじ)×清水英斗(しみずひでと)