【戦士鍛錬場:原田 公司・中尾 智史・小原 愛莉・青沼 絢加・藤枝 拓海・是枝 泰彦・柳沢 喜恵・桐原 美早】

「あのー、模擬戦を見学させてもらっても良いですか?」

「良いよー」

 遠慮がちに声をかけた小原 愛莉の言葉を聞いて、ベンチに座って水分を補給している原田 公司は軽く返事を返した。ここは戦士鍛錬場。本日は30期の戦士たちが初めて戦士鍛錬場に訪れることになっていたので、探索は中止となり、戦士全員が朝から戦士鍛錬場に集合している。そして朝から簡単なオリエンテーションを行い、その後、既存メンバーを含めた自己紹介タイムとなる。そしてそれが終了した後は、それぞれが順次鍛錬を開始したのである。30期のメンバーはとりあえず横山 真弓の指示で、自分たちが使用できるエリアを確認し、そこでストレッチや軽い模擬戦を行う。本日は初日なのでそこまで気合を入れなくても良いということは横山からも言われている。本日の目的はあくまでも環境に慣れることなのだ。そこで鍛錬場を見渡すと、至る所で模擬戦が行われており、その全てが自分たちの模擬戦とは次元の違いを感じざるを得ないものであり、模擬戦を見ているだけでも実力がアップしそうな気になる。その中でも一番の特等席のような豪華な場所で模擬戦を行なっている前田 法重と原田の模擬戦があまりにもすごく、近くで観戦したくなったので、観戦をお願いしたのである。

「じゃあ次は俺と中尾やな」

「おねがいしまーす」

 ベンチから立ち上がった原田の言葉を聞いて、中尾は軽く返事を返した。この後小原と青沼 絢加、藤枝 拓海、是枝 泰彦、柳沢 喜恵、桐原 美早の6人はこの2人の模擬戦の周りを取り囲み、真剣に模擬戦を観戦する。戦闘技術のレベルが高すぎて理解できないことも多かったが、漠然とした体の動かし方や間合いの取り方は非常に参考になった。ただ残念だったのは、原田は喰らう人で中尾は受ける人である。新人は基本的に避ける人からスタートするので、防御面を考えるとあまり参考にはならなかったことになる。