【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】

「本田は結構使ってるんじゃないの?」

「いや、それほどでもないですよ」

 勝手なイメージで発した原田 公司の言葉を聞いて、相変わらずのポーカーフェイスで本田 仁が軽く返事を返した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの酒好きが集まっている。前田 法重と派閥メンバーたちもいつものように集合し、いつものように宴会を開始している。インターネットのファイル共有ソフトであるWinnyの開発者が逮捕されたというニュースが最近取り沙汰されている。これまでもWinnyの使用者が逮捕されたことはあったが、ついに開発者にまで逮捕の手が伸びたのである。このメンバーの中では一番インターネットに詳しく、かつ利用しているのが本田なので、このWinnyについても利用しているのではないかと原田は考えたのである。ちなみに、本田以外のメンバーはWinnyを利用したことがないようである。

「便利なツールではありますけど、ちょっと怪しいですからね」

「本田が怪しいっていうなら相当やな」

 言葉を続けた本田に対して、前田が感想を述べる。確かにWinny経由で個人情報が流出したり、極秘情報が漏れたなどのニュースは良く聞いている。それはファイルダウンロード時にウィルスに感染し、そのパソコンの情報が公開されてしまうという仕組みである。もちろんパソコンに詳しい人であればそのようなことは起きないのであるが、パソコン黎明期と違い、現在は誰でもパソコンを使用するようになっており、技術の進歩に利用者のスキルが追い付いていないのである。

「まあ使わないに越したことはないか」

 今までの話を中島 一州がまとめ、この後は話題を変えて最近の漫画の話で盛り上がるのであった。