【大劇:前田 法重・本田 仁】

「今日のラオウ強くないですか?」

「キックがつえーな」

 バトルボーナスが3連で終わった本田 仁が発した言葉に、前田 法重が返事を返した。ここはパチンコ屋『大劇』長嶺店。本日は祝日なので、前田と本田は朝から集合し、ここにスロットを打ちに来たのである。朝一からスロット北斗の拳に並んで座り、一喜一憂しながら勝負を楽しんでいる。台の設定は悪くはないらしく、あまり大きくハマることもないのであるが、連チャンがあまり続かず、コインが増えない状況が続いているのである。この台はボーナスを引くと、雑魚戦でコインを増やした後、ケンシロウとラオウのバトルとなり、ケンシロウが倒されなければ次のラウンドに進むことができる。ラオウの攻撃は3種類あり、弱攻撃のパンチ、中攻撃のキック、大攻撃の剛掌波である。感覚的にパンチは大丈夫、キックは何とかなる、剛掌波は仕方ないという判断であり、特に調子が良い時はパンチ、キックは楽勝で耐えて、剛掌波も交わしたり、耐えたり、ケーンだったりするのである。ところが調子が悪い時は剛掌波は確実にやられるし、キックもほぼ耐えれず、パンチですらプシューとなったりする。本日の2人の台はパンチは大丈夫で、剛掌波もそこそこ耐えるのであるが、キックで確実にやられてしまっているのである。

「ちょっと飯でも食って流れ変えるか」

「良いっすよ」

 こう話した後、店員さんを呼んで食事休憩の設定をしてもらう。どこかに何か食べに行こうかとも思ったが、目の前にある『ブンブン』で弁当を購入して車の中で食べることにした。食事を終えて店内に戻り、再度店員さんを呼んで、食事休憩を解除してもらう。そして再度打ち始めるが、今日のケンシロウは相変わらずやる気を感じられず、一日中ラオウのキックに苦しめられるのであった。