【熊大第2迷宮:ターンエー期待十分部隊】

「今日もそこそこの戦利品は回収できたからそろそろ帰りましょうか」

「意義なしー」

 物質回収と回復が終わったタイミングで山平 僚子が発した言葉を聞いて、堅田 静華が賛同の意を示した。ここは熊大第2迷宮。ターンエー期待十分部隊は本日も地下3階を訪れて、通常亜獣を適当に狩っていた。特に苦戦することもなくなってきたので、比較的に安全な探索が行えている。こうなると次の回へとすすむというのが冒険者としての矜持であるのだが、地下3階のボスを倒すには魔術師のティリオスの呪文が不可欠であり、この部隊の魔術師である成宮 敦志がまだティリオスを唱えることができないので、現在は地下3階に足止めという状況となっている。

「ティリオスってまだ時間がかかりそう?」

「良くわからないけど、今のところ出来る気はしない」

 戦士3人の回復を終えた紺野 智帆がティリオス習得について質問し、それに対して成宮は首をかしげながら答える。何だかんだいってティリオスは魔術師の最高位呪文であり、これを覚えると魔術師の完成系だと言われている呪文だ。ただ、覚えたからと言ってあまり使用する機会はなく、実際は魔術師最高攻撃呪文はTNT爆発というのが定説であり、魔術師の評価についてもこのTNTを何発撃てるかで表されることが多いのである。ちなみに現在成宮はTNTは3発打つことができるので、そろそろティリオスを唱えることが出来てもおかしくない時期にはなっている。

「まあ、そんなに急いでるわけでもないし、のんびり道草を楽しみましょう。じゃあ帰りますよ」

 こう言いながら大きく息を吐いた山平が階段方面へと向かって歩き出したので、部隊のメンバーもそれに続くのであった。