【熊大第1迷宮:ジェイフォンからボーダフォン部隊】

「おらー気合い入れろ気合いをー」

 迷宮内に玉田 智明の怒号が響き渡る。ここは熊大第1迷宮。本日もジェイフォンからボーダフォン部隊は地下1階のブッチャーの部屋を訪れている。前回の探索までに玉田はブッチャーをクリアしているので、現在ブッチャー戦を行っている和泉 秀一郎と河本 萌香のクリア待ちの状態となっている。和泉は喰らう人なので、ブッチャーの攻撃をどうしても喰らわないといけない。もちろん喰らうべくして喰らっているので闇雲に喰らっているわけではない。ただ、喰らう人以外の人から見ると、ただ単に苦戦しているように見えるもので有り、先ほどの玉田の怒号につながるのである。

「気合いは入れてるんだけどねー」

 怒号が耳に入り、思わず和泉の口から言葉が漏れる。ブッチャーの攻撃は1撃1撃のダメージがあまり大きくないので、正直言えばきちんと喰らわなくてもそこまでダメージは受けない。もしブッチャーを倒すことだけに重点を置くのであれば、喰らい方は気にせずに全力で攻撃すれば早く倒せる確信はある。だが、今後地下2階以降の亜獣と戦うことを考える中で、このブッチャーの攻撃をきちんと喰らえるようにならないといけないとも考えるのだ。

「努力〜根性〜義理人情〜」

 後方から玉田の意味不明な叫び声が聞こえた瞬間に振り下ろした攻撃によってブッチャーは消滅していった。

「お疲れ様。玉ちゃんうるさいねー」

 すれ違いざまにレア物質を回収しに行く大堀 達彦に声をかけられ、思わず笑みが漏れる。この後、宮木 かよがいる場所まで移動し、回復を依頼した。この後、河本がブッチャー戦を行い、それが終わると再度和泉がブッチャー戦を行う。相変わらず玉田の怒号が迷宮中に響いたが、特に気にせずに和泉はマイペースでブッチャー戦を行ったのである。