【熊大第1迷宮:ジェイフォンからボーダフォン部隊】

「君が玉田くんかねー。かかってきなさい」

 いつものように定型区の言葉を発しながらブッチャーが出現し、玉田 智明は両手剣を構えて大きく息を吐いた。ここは熊大第1迷宮。ジェイフォンからボーダフォン部隊は本日も地下1階のブッチャーの部屋を訪れている。いつものように戦う順番は玉田、和泉 秀一郎、河本 萌香となっており、まずは玉田がブッチャー戦を開始したのである。玉田は29期戦士の中でもトップクラスの実力を持っているが、まだブッチャーの攻撃に関して全てを交わすことは出来ていない。もちろんまだ時期が早いというのもあるが、相性が悪いというのもある。避ける人のタイプは基本を極めるタイプの起源、相手の攻撃をミリ単位で交わす神技、相手の体の動きから攻撃を予測する予知の3つがあり、玉田はこのうちの予知系の避ける人タイプである。予知系は動きが大きい相手に対しては非常に相性良く戦えるが、動きが小さい相手は予知が難しくなる関係上厳しい戦いが強いられる。ブッチャーは体は大きいものの、攻撃の際の動きは非常に小さいので、動きを予知するのは難しいのだ。逆に動きが短調な側面もあるので、起源や神技は相性が良いと言える。ちなみに、手数が多く1発1発のダメージはあまり大きくないと言う特徴から、受ける人は非常に戦いやすく、喰らう人は地味にダメージを喰らうので相性が悪いと言えるのである。そうこうしているうちに玉田は渾身の一撃でブッチャーを殲滅させた。

「玉ちゃん乙ー。物質回収します」

 罠解除士の大堀 達彦が玉田に声を掛けた後で物質回収に向かい、それに軽く反応した後で、玉田は宮木 かよに回復を依頼する。そして次にブッチャーと戦う和泉がカエルの彫像へと向かった。

「君が和泉くんかねー。かかってきなさい」

 いつも通りに出現したブッチャーを見つめながら和泉は気合を入れる。そして大きく息を吐いた後で、戦闘を開始した。和泉は喰らう人なので、ブッチャーの手数の多い攻撃を全て喰らっている。元々ダメージは大きくないのと、軽減して喰らっているので、一撃一撃のダメージは微々たる物である。だが喰らう数が多いので、非常に鬱陶しいのと、地味に体力が削られるのである。なので倒した後の疲労度は玉田よりも大きく、戦闘後はヘトヘトである。この後は河本がブッチャー戦を行ったが、河本は起源系の避ける人なので、ブッチャーとの相性が良く、倒した後のダメージや疲労度は1番少ない状況であるのだ。