酒井駒子 作
偕成社
『金曜日の砂糖ちゃん』『草のオルガン』『夜と夜のあいだに』
の3つの作品が収めらていて、どちらかと言うと大人向けの小さな絵本です。
酒井駒子さんの作品はどれも すごく人気があって
日本のみならず 外国でもその人気はすごいですね。
たくさんの作品が出ていますが これは酒井さん自身が自由に
書きたかったものだそうです。
酒井さんのお母さまに 随分まえに 娘さんの作品の中で
どれが一番お好きですかとお尋ねしたことがありました。
すぐに この作品を言われました。 絵がとにかく好きな子でした。
そして東京芸大美術部で基本を学びその後にも出会う方々に才能を伸ばしていただいたのです。
感謝ですね。娘さんのことを言われるお母さまの優しい表情。素敵でした。
そんなエピソードを聞いてから私もこの作品が大好きになりました。
★刊行時に寄せられたメッセージです
小さな本が出来ました。小さな本には、小さなお話が3つ入っていて、
3つのお話には、それぞれ3人の子どもが棲んでいます。
1つ目のお話は「金曜日の砂糖ちゃん」。“金曜日の砂糖ちゃん”と呼ばれている、
小さな女の子が出てきます。時間は、いつもよりゆっくりと流れていて、
時計の針は3時から4時までを指していました。
2つ目のお話は「草のオルガン」。短靴を履いてランドセルをしょった男の子が出てきます。
空は、だんだんオレンジ色になってきて、時計を見ると、いつのまにか5時を過ぎていました。
3つ目のお話は「夜と夜のあいだに」。夜と夜、ポイントとポイントの間に
目を覚ました女の子が出てきます。女の子はパジャマを脱いで、パンツ一丁になっています。
時計の振り子は斜めな角度になったまま、さっきからピクリとも動きません。
これら3人の子ども達は、絵の具とダーマトグラフとボールペンで描かれた後、
編集の広松健児さんに大切に育てられ、デザイナーの祖父江慎さんの手で、
本当に素敵に可愛らしくしていただき、ていねいな仕事で印刷され、
そして、江國香織さんには宝石のような言葉を帯へと寄せていただきました。
こんなに幸せな子ども達は、いないように思います。ほんとうに、ありがとうございました。
これら大切に送り出された3人の子ども達、どうぞ手に取って、眺めてやってください。(酒井駒子)