Teddy Wilson『For Quiet Lovers』 | kumac's Jazz

Teddy Wilson『For Quiet Lovers』

 スイングジャズ華やかりし頃、黄金のベニー・グッドマン楽団で人種の壁を軽やかに越えたテディ・ウイルソンは、あまりジャズの巨人として評価されていない。スイングしているいつものおっちゃんって感じで、空気のような存在だったりする。アール・ハインズとセロニアス・モンクを足して2で割ったと書くと失礼だが、オスカー・ピーターソンのようにただ華やかにスイングすればいいってもんじゃなくて、エンターテナー的な要素はほどほどに、しっかりとブラック・アメリカンの強烈な魂を内に秘めた演奏をし続けた。だから、ベニ・ーグッド楽団の中で自己の尊厳を守り続けていられたのだし、アフロ・アメリカンを強烈に主張したセロニアス・モンクも尊敬するピアニストであったのだ。
 そのテディ・ウイルソンが気心が知れた仲間であるミルト・ヒントン(b)、ジョー・ジョーンズ(ds)とスタンダードナンバーを小気味よく演奏しているのがこの『フォー・クワイエット・ラヴァーズ』である。スイング・ピアノの神髄を聴きたい方に是非お勧めである。それも、しっとりとした大人のスイングジャズである。kumacにとってもあまりなじみのないピアニストでしたが、この作品を聴いて夏のむさ苦しさが消えてきます。さわやかにスイングっていいですね。kumac的評価4.5(5点満点)
テディ・ウィルソン・トリオ, テディ・ウィルソン, ミルトン・ヒントン, ジョー・ジョーンズ
フォー・クワイエット・ラヴァーズ