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(写真1. EXPOユ98 リスボン海洋博覧会会場)
(写真2. 日本館における歓迎セレモニー)
(写真3. 集まってくれた観客と報道陣)
(写真4. 日本館到着のサイン)
(写真5. 記念撮影 この時の写真は後に日本館の公式記録書籍に掲載された)
(写真6. 朝日新聞)
(写真7. オフロードバイク専門誌「月刊ガルル」1998/12月号 これに先立ち
     9月,10月号においても特集を組んでいただいた)
(写真8. ガルル12月号続き)
(写真9. そのまた続き)

 今、これを書いている目の前の壁に大きな世界地図が貼ってある。たて1m、よこ1.5mほどの地図だ。日本橋丸善書店で¥1,000で購入したものだ。大きさの割に安いと思ってあとでよくみるとユーラシア大陸のどまんなかに「UNION OF SOVIET SOCIALIST REPUBLICS」つまりソビエト社会主義共和国連邦と書いてある。ペレストロイカ以前、1982年にアメリカで出版された古いモノだったのだ。しかしそれは国地域別に色分けをしてある行政区分図ではなく、色彩により高低が表されている地勢図だ。国境は目立たぬようごく細い線で引かれている。ぼくは国境線が目立たない地勢図の方が好きだ。地形が良く分かるし、なにより人々を隔てる国境がない。
 
 ユーラシア大陸横断ツーリングから帰国後、この地図に虫ピンを刺して走行したルートを繋いでみた。2ヶ月間、15,510kmにおよぶ旅が、たった50cmほどになってしまった。こうしてみると旅そのものが現実のものでなく夢の中での出来事であったかのようにも思える。しかしそれが夢や幻でない証拠に、このサポート隊日記と多くの写真や動画が手元にある。
 この旅の道中、広大な大陸に住む多くの人と出会った。しかし、国境という人為的に引かれた線、概念で隔てられている人々は肌の色、髪の色、目の色こそちがっても、我々となんら違うところはなかった。そして人種や言語、食習慣などの文化は国境とは関係なく緩やかに変化をして行った。まさにこの旅の目的のひとつであった「国境の無意味さを暴くこと」を体感してきたわけである。それなのに、今この瞬間も世界のどこかで国境を挟んだにらみ合いが続いている。

 もう一度この旅に行ってみたいかと問われれば、もちろん行きたいと答える。
 旅の道中に出会った多くの心優しい人々たちに、このド素人によるドタバタツーリングは支えられてきた。これらの人のほとんどとはもう一生出会うこともないだろう。でももし、もう一度同じルートを旅したら、なかには覚えていてくれる人がいるだろうか。そうだとしたらうれしい。

 アジアとヨーロッパは確かに地続きで、一本の道でつながっていた。




あとがきのあとがき

 この日記はサポート隊員であるぼくが日々つけた日記です。同様のルートでユーラシア大陸横断を計画している人もいると思いますが、そういう人達にはたぶんあまり参考にならないであろうことを、言っておきます。
 また、毎日の天候が書いてありますが、これも一日に数百キロも進めば大陸性気候なのだからコロコロと変らない方がおかしいわけで、これもほとんど参考にはならないと思います。しかしこの旅の二ヶ月間、大陸はおしなべて天気は悪かったことははっきりと言えます。 

 日記の中でも予告したとおり、ロカ岬到達の翌日には、折しもリスボンで開催されていたEXPO ユ98 世界海洋博覧会の日本館において盛大な歓迎セレモニーを催していただきました。500年前の大航海時代、ここリスボンから東洋へ向けての船出があったが、500年の時を経て今度は日本人が陸路でリスボンへ来たということで、リスボン市民を中心とした観客のみなさんに大歓迎していただきました。リスボン市民のみなさん、博覧会関係者のみなさんありがとうございました。
 また帰国後には朝日新聞、J-WAVE、日本経済新聞、月刊ガルル他でも旅の様子を取り上げていただきました。

 この旅にぼくが参加することに、当初は反対だった人が3人いました。一人は日本最大の私塾enaの代表取締役社長、河端真一氏。氏は「お前、旅のあいだにほかのメンバーとぜったいにケンカするから、行かない方がいいよ。」ぼくの性格をよく見抜いたご意見でしたが、大きな争いごともなく無事戻ってまいりました。
 もう一人は仕事でずいぶんお世話になっている櫻井彰生ディレクター。かつて自らも大型バイクを操っていた氏は「そんなに長距離を車に乗ったら内蔵が下がってしまうぞ」との注意。これはコルセットを装着することで解決しました。
 最後の一人は荻窪の美容師、三田ひて子さん。「ヘルメットをかぶって頭がムレたら髪の毛に良くないからね」これは通気性の良いヘルメットを購入し、行程が長いときはタオルなどをかぶってからヘルメットをかぶる、また洗髪を欠かさない、というアドバイスを頂き解決。
 旅立ちにあたって以上の3人も含むたくさんの人たちから激励をいただき、「良い旅を」とはなむけの言葉を頂戴しました。

 ただいま。無事に帰ってきました、ありがとう。
 そして、旅の道中に出会い、このツーリングを成功に導いてくれた多くの心優しい人々にも、ありがとう。また会える日まで。

 旅に出るには大きな理由や迷いは不要です。ほんの少しの勇気と、旅立ちの迷いにポンッと背中を押してくれる誰か、そして旅を一緒に楽しんでくれる仲間と、心から楽しむことのできる自分がいれば十分です。