以前のコメントに、「フレンチで、ソースを作るときに使うダシに入れる具(肉、野菜等)は、捨ててしまうのか?…もったいない…」と言う内容のコメントをいただきました。

たしかに、もったいないですねぇ~

フレンチに限らず、中華でも和食でも、ダシ、スープは重要ですから、大量の肉や野菜を使う場合があります。

ラーメン屋さんのスープなんかもそうですねぇ

デカイ鍋の中に、いろんな材料が入ってます。

洋食のお店では、たいていデミグラスソースを作ります。

このデミグラスソースは「もったいない!」と言われそうな代表ですねぇ~

では、一般的なデミグラスソースの作り方を、ご説明します。

1日目(朝)
大鍋(まぁ60㍑サイズ)に、老鶏の丸と、オーブンで焼いた、牛の骨をいれ、水を入れて加熱し、沸騰したら火を弱め、常に小さく沸騰している状態を保ち、水が減ったら、水を足し、一日中加熱し、帰る時に火を止める。

2日目(朝)
先ず、鍋を加熱します。
牛筋を5~6キロ、オーブンで焼き、大鍋の牛骨を取り出して、焼いた筋を入れ、同じ様に沸騰を保ちながら加熱し、途中、2~3回、表面に浮いた脂をすくいとります。
帰りは火止めて帰ります。

3日目(朝)
先ず、鍋を加熱します。
玉葱30個、人参20本、セロリ10本を炒め、鍋にいれ、牛筋も焼いて鍋に入れます。

そのまま、同じ様に加熱し、火を止めて帰ります。

4日目(朝)
同じ様に、野菜と牛筋を入れ、火を止めて帰ります。

5日目(朝)
先ず、鍋を加熱します。
同じサイズの鍋を(又は容器)を用意し、鍋のソースを漉します。

この時、牛筋や野菜をギューギュー絞って、絞りカスにお湯をかけて、さらに絞ります。

この、漉したソースに、また野菜と牛筋を入れて加熱し、漉すという行程を、あと4~5回繰り返し、最後にワインやルー(小麦粉をバターで炒めたもの)で仕上げれば、デミグラスソースの出来上がりです。

なんで10日もかかるのか?

まぁ10倍の大きさの鍋と火力があれば、1日で出来るんでしょうけれど、厨房は食品加工場ではないので、そこまでの設備はありません。

ある程度の量を作るには、時間をかけるしか無いんですねぇ~

絞った牛筋と野菜は使えないのか?

う~む…
使えません…
確かに、もったいない…

デミグラスソースを漉すのは、たいてい見習いのコックの仕事です。

もったいないので、最後の一滴までギューギュー絞ります。

ギューギュー絞りますから、絞りカスは、美味しくないんです。

大鍋一杯のデミグラスソースを漉すには、1~2時間はかかります。

冬でも汗ダクに成りますし、手の皮はむけてしまいますし、腕はパンパンに成りますから、正直言って、やりたい仕事では無かったです。

でも、だからこそ、出来上がったソースは、絶対に無駄にはしません。

料理の師匠からは「ソースの一滴は、血の一滴と思え!」と、教わりました。

西洋料理、特にフランス料理は、ソースの食文化ですから、どうしてもソースに手間とお金をかけるんですねぇ

ただ、ソースに使った肉も野菜も、立派に役目を果たしてますョ

食事する時、出来ればソースやスープ、付け合わせも、残さず召し上がって頂きたいです…