野火 | バツイチアラカンオヤジの映画日記

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観た映画やドラマ、その他について、基本的にネタバレ無しで!無責任に感想を書き留めていきます。あらすじはコピペせず自分なりの文章でボケ防止を図りっているので当てにならないかも?!

塚本晋也監督の「野火」を観て以来読んでみたかった原作。映画のラストがどうもうまく解釈できなかったので原作を読めば理解できるのでは?と読んでみました♪

 

と、読んでみたのですが、、、正直なところどういうこと?ってますます深みにはまってしまった感じです。ただ自分の感じたモノは田村は最後の最後まで自分を偽っていたのかなって事。それは「喰べた」「喰べなかった」だけにとどまらず「戦争」とは無関係の「殺人」についてもで、勿論「戦争」が個人をそこまで追い込む状況を作ったのだと読者としては理解できるのですがそれらを「無かった事」とまでは言いませんが「不可抗力」で起こった事の様に自己弁護、と云うかそう思い込もうとしている。そんな印象を受けました。ただ自分がもし田村と同じ状況に陥ったら、素直に罪を認められるものなのか?と考えると「戦争」とは人の心をイビツに変形させるものなのだと云う作者の主張のようにも感じられました。

 

映画版はほぼほぼこの原作通りだったんですね。ただ田村の心の変化はこの原作を読んで映画版よりよく分かった気がします。あんな状況に陥ると人って意外とすっぱりと「死」を覚悟できるんだなとか、いや「覚悟」じゃなくそれが地獄の状況を終わらせる唯一の選択肢になる事を達観するのか?とか、そこへ僅かでも望みが見いだせれば地獄の状況の中、また前に進む気力、生きようとする気力が発生するのだとか二転三転する心の変化がリアルに感じられました。あと映画版でも怖かった「ここ、喰べてもいいよ」はこの原作でもトリハダもんでした(T_T)

 

「野火」 オススメ度 ★★★